今更聞けない?最も身近な保湿成分「グリセリン」の嬉しい効果

最も身近な保湿成分「グリセリン」

 多くの方が実感されているかもしれませんが、毎日のスキンケアで最も大事なことの1つは「保湿」です。年齢と共に失われやすくなる肌の水分を化粧水や乳液で補い、蒸発させないようにすることにより、肌のトラブルや老化を防ぐことができます。化粧水や乳液の効果としてはプラスアルファのシミ、シワの予防などが注目されがちですが、基本的には水分、及び水分が失われないようにする成分でできています。

 そして、代表的な保湿成分としてあらゆる化粧品に使われているのがグリセリンです。グリセリンはプチプラからハイブランドまであらゆるスキンケア製品に利用されているだけではなく、手作りコスメの材料としても有名で、水と混ぜるだけで普段使いには十分な化粧水を作ることができます。グリセリンを使った化粧水は程よいしっとり感ととろみがあり、毎日肌を優しく潤わせてくれます。では、どうしてグリセリンには保湿効果があるのでしょうか。また、グリセリンがあらゆるスキンケア製品に好んで用いられているのはどうしてなのでしょうか。

グリセリンの特徴「水とよく馴染む」「肌につけやすい」

 グリセリンは化学式C3H8O3で表される代表的な三価アルコールの一種で、常温では無色透明のややとろみのある液体です。グリセリンは比較的分子量の小さな物質であるにも関わらず、1分子あたりヒドロキシル基(OH)と呼ばれる水(H2O)と馴染みやすい構造を3個持っていることから水には任意の割合で混和し、また、空気中の水分をよく吸収します。そのため、肌につけるとより多くの水分を取り込み、同時にヒアルロン酸等には及ばないものの、肌からの水分蒸発を防ぐ効果も期待できます。

 グリセリンのもう1つの特徴として、肌への馴染みやすさも挙げられます。皮脂の主成分は脂肪酸にグリセリンが結合した「脂肪酸トリグリセリド」と呼ばれるものであるため、グリセリンは肌にとても馴染みやすく、化粧水に加えることでより多くの水分を肌に留めます。また、他の保湿成分と比較して低分子で肌への浸透性にも優れているため、分子本来が持ち合わせている保湿効果を十分に発揮できます。

 使い勝手の面でもグリセリンは優れています。純粋なグリセリンは粘度が高い成分として知られており、通常は高濃度のものを水で薄めて使用しますが(手作りコスメに使う場合で5%前後が目安です)、ベタつかない程度の適度なとろみが残ります。そのため、コットンを使わずに手にとってつけるだけでも肌に密着させることができます。

グリセリンの特徴②他の保湿成分との相性の良さ

 先に述べたように、グリセリンには肌の保湿力を高める効果を期待できるものの、肌から水分を逃さない、いわゆる「保水力」はあまり高くありません。しかし、ヒアルロン酸やコラーゲンといった一般的に保湿力が高い成分として知られているものの多くは「肌の表面に留まり、水分を逃さない」ことによって保湿作用を発揮します。そのため、グリセリンとこれらの成分を併用することにより、肌に水分をしみ込ませ、逃さない、といった相乗効果を期待することができます。

 また、グリセリンは室温付近での安定性に優れているため、温度変化によって固まってしまったり、望まない反応を起こしてしまったりすることがありません。そのため、多くの成分と併用することができ、また、水やエタノールと混和し、油性成分にも多少馴染みやすいため、植物エキス等の溶媒としても用いられています。

グリセリン、本当に使っても大丈夫?使い続けても無くならないの?

 このように、グリセリンは優れた保湿力と使い勝手の良さからスキンケアを中心に、あらゆる化粧品に利用されています。皮脂の成分の一種であることから肌との相性も良好で、その安全性の高さも折り紙付きです。「皮脂の成分の一種」であることから、肌の状態によってはニキビ菌の増殖を助けてしまうことがあること、また、吸湿性の高さの裏返しとして、手作り化粧水などに高濃度で配合すると「肌の水分を奪ってしまう」心配はありますが、肌の状態や使う分量に気をつけてさえいれば、基本的には安心して使うことができます。

 そして、グリセリンのもう1つのメリットは「使い続けられるだけの生産量がある」ことです。今日、化粧品に使われているグリセリンは植物由来のものが主流ですが、その多くがパーム油や大豆油などを原料として生産されています。これらの植物は大量に栽培することが可能で、農地を適切に管理してさえいれば環境に負荷をかけず、持続的にグリセリンの生産に利用することができます(コスト面でも石油より優れています)。また、最近ではバイオディーゼル燃料の副生成物としても大量に得られており、「使い切れない」といった理由で大半が廃棄されているため、今後グリセリンの利用が増えても「無くなってしまう」「高くて買えない」といった状態になることはないでしょう。

 あまりにも当たり前の存在で、普段ありがたみを感じることも少ないグリセリンですが、その優れた効果、使い勝手の良さ、そしてニーズを支えられるだけの生産量によって、最も身近な化粧品成分としての地位を確かなものにしています。究極のしっとりを求めて色々な製品を試してみるのも良いのですが、たまには身近な成分にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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