「落ちない」日焼け止めはどんな成分でできているの?どうすれば落とせるの?

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「落ちない」日焼け止め、便利だけど不便?

 年々厳しさを増すばかりの日差しを防ぐため、日焼け止めは老若男女を問わず、すっかり欠かせない存在になりました。普段化粧品に馴染みのない男性の方でも、屋外で仕事や運動をする時、あるいは海や山のレジャーを楽しむとき、日焼け止めのお世話になっているのではないでしょうか。以前は上手く肌に馴染まなかったり、こまめに塗り直したりする必要があるアイテムが多かったですが、最近では肌につけやすく、かつ汗や摩擦で「落ちない」日焼け止めが発売され、朝に塗れば夕方までそのまま効果を保ち続けることができます。

 しかし、この「落ちない」日焼け止めですが、文字通り「落とす」のが大変です。肌への馴染みが良い反面、お湯やボディーソープ、洗顔石鹸ではほとんど落ちず、ボディシートなどを使って無理矢理こすり落としたり、落としきれていないとは感じつつもそのまま放っておいたり、といった経験をした方は多いのではないでしょうか。「洗顔で落ちる」日焼け止めを使うのも1つの方法ですが、逆に汗や摩擦で落ちてしまって上手く使えなかった、という経験をされた方も少なからずいらっしゃるでしょう。一体、「落ちない」商品にはどんな成分が使われていて、それを落とすにはどんな方法が良いのでしょうか。

落ちない日焼け止めの主成分「紫外線吸収剤」「シリコーンオイル」

 「落ちない」日焼け止めに使われている主な成分としては「紫外線吸収剤」「シリコーンオイル」が挙げられます。紫外線吸収剤の代表的な成分としてはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルやジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどが挙げられ、日焼け止めの持続時間の指標であるSPF値やPA値が高い製品にはほぼ用いられています。これらは油と馴染みやすい成分で、油性の基剤(必要な成分を溶かすための成分)に溶かし、紫外線から肌を守る目的で用いられています。

 一方、「ウオータープルーフ」「落ちない」日焼け止めに多く用いられているのが「シリコーンオイル」と総称される成分です。シリコーンオイルの代表的な成分としてはジメチコンやシクロペンタシロキサンなどが挙げられ、油性の紫外線吸収剤を溶かす目的で化粧品に広く用いられていますが、共通の大きな特徴として、肌につけると皮膜を形成することが挙げられます。この皮膜は薄く安定性に優れ、水をよく弾くため、日焼け止めに多く配合することで汗や水、摩擦で落ちないようにすることができます。

 「石鹸で落とせる」「お湯で落とせる」日焼け止めは紫外線吸収剤やシリコーンオイルの配合量は控えめで、代わりに酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線散乱剤が多く利用されています。このようなアイテムは「落とす」ときの利便性に優れており、また、アイテムによってはさっぱりとした使用感になりますが、その分ちょっとした汗や摩擦でも落ちやすく、また、日焼け止めとしての効果が高いものはどうしても使用感が悪くなります。

日焼け止めにも「クレンジング」

 では、「落ちない」日焼け止めを落とすにはどうしたら良いのでしょうか。そのために欠かせないアイテムはクレンジングです。クレンジングはメイクを落とす時に使用するお馴染みのアイテムですが、界面活性剤(水と油を馴染ませやすくする成分)が使用されており、肌につけるとメイクに含まれる油分を浮かせ、水で洗い流しやすくする効果を期待できます。洗顔料やボディーソープにも界面活性剤は使用されていますが、それらが様々な汚れをバランス良く浮かせるのに対して、クレンジングは皮脂やメイクといった油分を浮かせることに特化しています。紫外線吸収剤や油性基剤を使った通常の日焼け止め、あるいは「洗顔料で落ちる」ことを謳った製品であれば、一般的なクレンジングを使うことで十分に落とすことができます。

 しかし、「落ちない日焼け止め」に利用されているシリコーンオイルはミネラルオイルや植物油に溶けにくく、一般的なクレンジングでは中々落とすことができません。また、洗浄力の穏やかな洗顔料やボディーソープでも同様で、無理に擦り落とそうとすると肌に大きな負担をかけてしまいます。しかし、クレンジングの中でもシリコーンオイルを多く含んだもの、また、パルミチン酸エチルヘキシルやトリエチルヘキサノインといったエステル油を主成分としたものを利用することで落とすことができます(一般的にミネラルオイルの方がエステル油より洗浄力は強いのですが、シリコーンオイルとの馴染みやすさではエステル油が勝ります)。

 但し、このような成分が含まれたクレンジングを使ってもジメチコンの皮膜はすぐには落ちないため、ゆっくりと馴染ませて日焼け止めを肌から浮かせ、洗い流すと良いでしょう。また、シリコーンオイルやエステル油を主成分としたクレンジングは洗浄力が強く、肌にとって必要な皮脂も失われてしまうため、使用後は化粧水や乳液などを使って保湿ケアを行うことをお勧めします。

 日焼け止めを「使わない」理由として、塗った後のべたつきや落としにくさを挙げる方が少なからずいらっしゃいます。しかし、幸いにもクレンジングを使って適切なケアを行うことで、落としにくさをうたった製品であってもしっかりと洗い落とすことができます。年々必須となりつつある日焼け止め、何となく敬遠されていた貴方も、クレンジングと合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。

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