使用の目的:金属イオン封鎖剤
類似した成分:EDTA-2Na、エチドロン酸
ペンテト酸5Naとは様々な化粧品に利用されている成分で、化学式C14H18N3Na5O10で表されるポリアミノカルボン酸の一種です。常温では淡黄色の液体で、水にやや溶けやすく、油とはやや馴染みにくい性質を持っています。ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液と呼ばれることもあり、タイワンヒノキの精油などにも含まれていますが、ジエチレントリアミンをホルムアルデヒド、シアン化ナトリウムと反応させることによって合成されたものが主に利用されています。
特筆すべき性質としては優れた金属イオン封鎖剤としての性質が挙げられます。水中の金属イオンは石鹸の泡立ちを悪くしたり、他の化粧品成分を変色、沈殿させたりする原因になります。ペンテト酸5NaはEDTA-4Naと類似した構造を持っており、金属イオン、特にカルシウムイオンやナトリウムイオンと反応して錯体を形成することにより、このような化粧品の品質や使い勝手を維持する上で望ましくない作用を妨げる効果を期待できます。
天然にも存在している成分で、化粧品に含まれている範囲では肌への刺激性や毒性もなく、安心、安全に利用可能な成分です。また、生分解性があり、かつ分解されても富栄養化等をもたらさないため、環境への負荷も少ないと言われています。しかし、他の成分と比較して金属イオン封鎖の効果自体はやや穏やかです。
類似した成分としてはEDTA-2Naが挙げられます。EDTA-2Naはペンテト酸5Naと同様に金属イオン封鎖剤として化粧品に用いられていますが、生分解性に難がある一方、作用自体はペンテト酸5Naよりも強力です。環境負荷への意識の高まりから最近ではペンテト酸5Naの利用も増えましたが、一般的にはEDTA-2Naの方が広く用いられています。