使用の目的:保湿、基剤成分
類似した成分:流動パラフィン
ワセリンとは油性の化粧品全般に含まれている成分で、炭素数が24〜34個の炭化水素の混合物です。常温ではペースト状の薄黄色の固体ですが、化粧品向けには不純物を取り除いた白色に近いもの(白色ワセリン)が用いられています。水やエタノールとは馴染みにくく、他の油性成分とよく馴染みます。工業的には石油を分留精製し、脱色することによって容易に得ることが可能です。
特筆すべき性質としては基剤としての使いやすさが挙げられます。ワセリンは適度な粘性と滑らかさを持っており、油性成分との馴染みが良いため、特に化粧品を形作るための基剤としてよく用いられています。また、純粋な炭化水素であるワセリンは水と馴染みませんが、肌に塗ると表面からの水の蒸発を防ぐ働きがあるため、普及価格帯の製品を中心に、保湿目的でもよく使用されています。
化学的に非常に安定した成分で肌への刺激も少なく、安心、安全に利用可能です。また、石油由来であるが故に不純物を十分に取り除くことが可能なため、不純物による予期せぬアレルギー反応の心配も少ない成分です。しかし、ワセリンの塗り心地に関しては好みが分かれ、人によってはべたつきが気になります。また、保湿目的で使用する場合、あくまでも「肌表面の水分の蒸発を防ぐ」効果に特化しているため、使用前には化粧水による十分な水分補給が必要です。
類似した成分としては流動パラフィンが挙げられます。流動パラフィンはワセリンと同様に化粧品の基剤として用いられますが、ワセリンと比較して粘度が低くさらさらとしています。その為、クリームやワックスといった粘り気の強い化粧品よりもむしろ、クレンジング等の水に近いテクスチャーの化粧品に用いられます。
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