アラビアゴム

成分

使用の目的:増粘剤、乳化剤

類似した成分:カルボマー、キサンタンガム

 アラビアゴムとは一部のメイクアップ製品、ヘアケア製品等に含まれている成分で、化学式C5H10O6で表されるアラビン酸を主成分とした植物性高分子の混合物です。アラビアガムもしくはアカシア樹脂と呼ばれることもあり、常温では白色もしくは薄褐色の粉末状の物質で、水にやや溶けやすく、油とやや馴染みにくい性質を持っています。工業的にはマメ科の植物アラビアゴムノキの幹から抽出することによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては増粘作用が挙げられます。アラビアゴムを水に溶かすと構造中のヒドロキシル基によって粘度が上がり、また、被膜を形成するためメイクアップ製品の肌への固着力を高めることができます。また、アラビアゴムの構造内には親水性のヒドロキシル基の他に、水と馴染みにくい疎水性ペプチドの部分が存在しているため強い乳化作用を発揮します。この作用はpH変化にあまり依存しないため、化粧品の品質を安定させる目的で、乳化剤としてもよく用いられています。

 天然由来で食品添加物としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性もないため安心、安全に利用可能です。また、原料であるアラビアゴムノキは大規模に栽培されているため、比較的安価に入手可能です。しかし、原産地が一部のアフリカ諸国に偏っており、地政学リスクや水不足、生産者の離農などにより、やや供給が不安定になりつつあります。

 類似した成分としてはカルボマーやキサンタンガムが挙げられます。カルボマーやキサンタンガムはアラビアゴムと同様に増粘作用や乳化作用を持っていますが、アラビアゴムと比較して乳化作用はやや劣っているものの、より水溶液の粘度が高いことが特徴です。そのため、両者は増粘剤として、化粧品にとろみをつけることを目的で利用されることがより多くなります。

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