合成ワックス

成分

使用の目的:硬度及び融点の調整、化粧品の使用感の改善

類似した成分:マイクロクリスタリンワックス

 合成ワックスとはメイクアップ製品に幅広く含まれている成分で、様々な長さを持った直鎖状の炭化水素の混合物です。FTワックスと呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の固体で、水に全く溶けない一方、石油由来の油性成分とは比較的馴染みやすい性質を持っています。工業的には一酸化炭素と水素を反応させて炭化水素を合成するフィッシャートロプシュ法、もしくはエチレンを重合させることによって得られ、枝分かれの無い、鎖状の分子構造を特徴としています。

 特筆すべき性質としては油性の化粧品を固化させ、製品の安定性や使用感を改善させる作用が挙げられます。合成ワックスを油性の化粧品に配合すると、成分自体の硬度や融点の高さによって形状が安定し、また、油性成分の流動性を低下させる働きも持ち合わせているため、衝撃等による分散を防止します。他の油性成分と比較してさらさらとした感触のため、肌につけた際の使い心地も良好です。

 化粧品に使用する上で成分の安定性に優れており、また、肌への刺激性や毒性もないため安全、安心に利用可能な成分です。また、ポリエチレンと物性が似ていますが、生分解性があるため低環境負荷のスクラブ剤としても利用されています。しかし、石油から生成して得られる炭化水素と比較してやや高価であり、また、粘度の低さや常温で固体であることは製品によってはデメリットにもなります。

 類似した成分としてはマイクロクリスタリンワックスが挙げられます。マイクロクリスタリンワックスは合成ワックスと同様に様々な長さを持った炭化水素の混合物ですが、分子構造に分岐が多く、より粘り気が強いことが特徴です。化粧品ではそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされています。

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