「メイク落としだけ」じゃない!クレンジングオイルの便利な使い方

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メイク落としの必需品、クレンジングオイル

 メイクは「活動的な私」になるための欠かせないルーチンです。少しだけ気分が憂鬱な朝でも、メイクをすることで気持ちが切り替わり、今日も1日頑張ろう、と思うようになる方も多いでしょう。「活動的な私」は家族や恋人、同僚との忙しい一日を過ごし、夜になってメイクを落とすことで、元の「くつろぎモードの私」へと戻ります。

 この「メイク落とし」に欠かせないのがクレンジングオイルです。ファンデーションやチーク、口紅は油分を主成分としているため、少しの雨や汗、食事の水分では落ちることがなく、肌に密着し続けます。また、水やぬるま湯、洗顔石鹸だけで落とすのも結構大変です。しかし、クレンジングオイルを使うと肌に密着したメイクが浮き上がり、簡単に洗い流したり、拭き取ったりできるようになります。

 とても便利なクレンジングオイルですが、成分としては主に「油分」と「界面活性剤」から構成されています。油分の代表的なものとしてはミネラルオイルやオリーブオイルが挙げられ、ファンデーションや口紅などを馴染ませ、浮き上がらせる役割を担います。一方、界面活性剤の代表的なものとしてはイソステアリン酸グリセリルが挙げられますが、油分によって浮き上がらせたメイクを水で洗い流しやすくする役割を担います。

クレンジングオイルの「油分」と「界面活性剤」の作用

 クレンジングオイルの油分と界面活性剤はメイクをどうして「浮き上がらせ」、「洗い流しやすくする」のでしょうか。それには化学的な作用が深く関係しています。

 「浮き上がらせる」効果については、ファンデーションや口紅、日焼け止めとクレンジングオイルに含まれる油分同士が自然と混ざり合う性質によって得られます。化学物質を分類する方法の1つとして、電気的な偏り(極性)の有無が挙げられますが、ミネラルオイルに代表される鉱物油やオリーブオイルに代表される高級脂肪酸は無極性分子に分類されます。そのため、極性を持つ水のような分子とは引き合いませんが、油分同士を混ぜるとファンデルワールス力と呼ばれる弱い相互作用によって引き合い、均一に分散します。メイクの油分は皮脂よりも極性がより弱く、クレンジングオイルに含まれる油分とよりよく馴染むため、皮脂を落とし過ぎることなく、メイクや日焼け止めだけを浮かせることができます。

 一方、「洗い流しやすくする」効果は界面活性剤の持つ「親水基」「疎水基」と呼ばれる構造によって得られます。通常の化学物質には水に馴染みやすい親水基、油と馴染みやすい疎水基のどちらか一方の性質が強く現れますが、界面活性剤は両者の性質を持っており、油分と作用させると疎水基の部分が油分を包み込み、外側の親水基によって水とも馴染みやすい「ミセル」と呼ばれる構造を形成します。この状態の油分は水ともとても馴染みやすいため、無理にこすり落とすことによる肌への負担を減らすことができます。

クレンジングオイルの便利な使い方①服の汚れを落とす

 このように、メイク落としにとても便利な化学的作用を持ったクレンジングオイルですが、「油分を浮き上がらせ」「洗い流しやすくする」効果はメイク以外にも利用することができます。

 比較的身近なライフハックとしては、「服の油汚れを落とす」効果が挙げられます。どんなに気を付けていても、食事や料理のシーンで油が跳ねてしまったり、食べ物を落としてしまったりして衣服に染みを付けてしまう、といったことが時々あるものです。特に時間が経った油汚れは中々落ちず、高いクリーニング代で済めばまだ良くて、場合によっては折角のお気に入りの服が資源ごみになってしまいます。

 そんな時の応急処置に役立つのがクレンジングオイルです。クレンジングオイルを衣服の染みの部分に染みこませ、軽く揉むようにして、その後に水を含ませたハンカチやコットンなどで拭うことで、ちょっとした油染みであれば完全に落としたり、目立たなくしたりすることができます。その後はいつも通りに洗濯したり、クリーニングに出したりするようにして下さい。実は食品の油分と化粧品の油分はとても性質が似ており、オリーブ油のように同じものを使っている場合もあります。その為、「メイクを落とす」クレンジングオイルの使用が非常に効果的です。また、少し贅沢な使い方ですが、クレンジングオイルをキッチンの油汚れの掃除に使うこともできます。

クレンジングオイルの便利な使い方②頭皮クレンジング

 「油分を浮き上がらせ」「洗い流しやすくする」作用は皮脂を取り除く目的で利用することもできます。クレンジングオイルはファンデーションをはじめとしたメイクの油分と成分を合わせていますが、皮脂の成分ともある程度馴染みます。そのため、肌につけるとマイルドに皮脂を浮かせ、余分な皮脂を取り除くことができます。

この使い方は頭皮のクレンジングに有効です。特に男性は頭皮からの皮脂分泌量が多いため、適切なケアを施さないと毛穴が詰まり、頭皮や髪の毛のトラブルの原因となります。皮脂を洗い流す為にはラウリル硫酸ナトリウムなどの石油系成分が有効ですが、過剰に皮脂を取り除いてしまった場合、頭皮の乾燥やさらなる皮脂分泌の促進など、かえって逆効果となってしまうことがあります。

 そこで、「適度に皮脂を浮かせて取り除く」目的でクレンジングオイルを用います。クレンジングオイルを頭皮につけてマッサージすることにより、毛穴の皮脂が浮き上がり、お湯で取り除きやすい状態になります。その後、クレンジングオイルを洗い流して通常のシャンプーを使うことで、毛穴の詰まりを解消するだけなく、クレンジングオイルの油分によるマイルドな頭皮の保護効果も期待することができます。

クレンジングオイル、もっと注目してみませんか?

 このように、クレンジングオイルはその化学的な性質に着目することで、メイク落としだけではなく、油によって引き起こされる様々なお悩みの解決に役立てることができます。化粧品と食品の世界の距離はとても近く、専門的な知識を少し知っておくことで、色々と応用できることがあります。化学は難しい印象もあるかもしれませんが、クレンジングオイルをきっかけに、その世界をもう少しだけ覗いてみてはいかがでしょうか。

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