メイク落としはどんな成分でできているの?どう選んだらいいの?

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 1日の終わりの大事なイベント「メイク落とし」

貴方は1日の終わりをどんな風に迎えていますか。仕事や家事で忙しく動き回ったり、沢山遊んだり、よそ行きモードになっていた自分をリラックスモードに切り替えることで、1日の疲れを癒す時間を作ることができます。ゆっくりお風呂に浸かったり、お気に入りのアロマを焚いてみたり、人によっては美味しいお酒を飲んでみたり、癒し方は人それぞれかもしれません。睡眠も大事ですが、お休み前のこの時間もとても大事です。

このオン、オフの切り替えは肌にとっても大事です。素敵なメイクは貴方の魅力を最大限に引き立ててくれますし、日焼け止めは紫外線から貴方を守る頼もしいアイテムですが、肌にとってもリラックスの時間は必要です。そして、その為に欠かせないアイテムが「メイク落とし」です。洗顔石鹸ではこすっても中々落ちないメイクや日焼け止めでも、メイク落とし、クレンジングを使うことによって無理なく優しく落とすことができます。

「メイク落とし」はどんな製品なの?

 メイク落としとはどんな製品なのでしょうか。メイク落としはクレンジングやリムーバーと呼ばれることもありますが、その名の通り「メイクを落とす」ことに特化した製品です。通常、ファンデーションをはじめとしたメイク製品や日焼け止めは肌に塗って延ばして使うことを目的としているため、撥水性に優れた油分を主成分としています。その為、通常の「過剰な皮脂を落とす」ことを目的とした洗顔料やボディーソープでは、全てのメイクを落とすことができません。

 メイク落としは肌表面の油分をとてもよく落とします。最近では肌への負担を軽減するために、保湿成分等を取り入れた製品も増えてきましたが、肌のコンディションを整える役割も担う洗顔料と比較して「油分を取り除く」ことに特化しています。メイク落としを肌に馴染ませることによって密着したメイクの油分が浮き上がるため、水で洗い流したりコットンで拭き取ったりすることで、メイクを完全に落とすことができます。

メイク落としの成分①油分

メイクを浮き上がらせることに特化したメイク落としですが、どのような成分が含まれているのでしょうか。実はメイク落としの成分の大半は「油分」で、主にミネラルオイル(鉱物油)と呼ばれる石油由来の成分が使われています。ミネラルオイルは常温では液体で炭素原子が16~32個直鎖状に繋がった構造を持っており、それぞれの炭素原子には2個~3個の水素原子が結合しています。この炭素と水素の結合した構造は炭化水素と呼ばれますが、水と全く馴染まず油と馴染みやすいため、親油基と呼ばれます。

分子全体が親油基であるミネラルオイルは肌の皮脂の主成分である脂肪酸や脂肪酸エステル(親油基と親水基の両方を持っています)とある程度馴染みますが、油性のファンデーションやポイントメイクの主成分であるワックスやミネラルオイルと構造が似ているため、より馴染みやすいのが特徴です。そのため、メイク落としを肌につけるとメイク成分に含まれる油分が引き寄せられて浮き上がり、メイクの色味成分である酸化チタンや酸化鉄などの顔料も落としやすくなります。

メイク落としの油分としてはミネラルオイルだけではなく、オリーブ油やコメヌカ油などの植物油も利用可能で、ナチュラルコスメのジャンルでよく使われています。ミネラルオイルと比較してメイク落としの効果はやや控えめでべたつきやすいのですが、その分肌の皮脂を奪いにくいため安心して使うことができます。

メイク落としの成分②界面活性剤(乳化剤)

メイク落としの主成分である油分はメイクを浮き上がらせますが、これを落とすためには水のような液体で洗い流す、もしくはコットン等で拭き取る作業が必要になります。しかし、メイクとメイク落としの油分が混ざり合ったそのままの状態では水に流しにくく、また、乾燥した布で拭き取るためには力を込めてこすり落とす必要があります。

そこで、メイク落としには水と油の仲介役として界面活性剤(乳化剤)が利用されます。界面活性剤は分子内に親水基と疎水基の両方を持つことにより、油分に作用させると油分を包み込み、かつ水とも馴染みやすいミセルと呼ばれる構造を形成します。この状態の油分は水で洗い流しやすいため、こすり洗いで肌に不要な刺激を与えることはありません(一部では界面活性剤不使用の製品もありますが、使い心地は大きく劣ります)。

界面活性剤には様々な種類がありますが、メイク落としには非イオン系界面活性剤と呼ばれるものが一般的に利用されます。非イオン系界面活性剤は水中でイオン化せず、洗浄力や泡立ちも控えめですが、肌の皮脂等を残したまま浮かせたメイクのみを取り除くことが可能です。代表的な成分としてはイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(酸化エチレンの付加数によって名称が異なります)などが挙げられます。

メイク落としはどう選んだらいいの?

では、メイク落としはどのように選んだら良いのでしょうか。クレンジングオイルやジェル、バーム、ミルクなど様々な種類があるメイク落としですが、貴方が「どれだけしっかりメイクを落としたいか」によって選ぶと良いでしょう。

普段は簡単にメイクをする程度、ということであれば、植物油などを主成分としたクリームやミルク状の製品がお勧めです。肌にあまり刺激を感じなければミネラルオイル主体の製品を使っても良いのですが、本来必要な皮脂まで取り除いてしまい、乾燥の原因となるため、使用後は保湿や皮脂を補うためのケアが必要です。

一方、仕事などでしっかりメイクが必要な場合、肌の負担を少なくするためにはメイクの油分を残さず取り除くことが大事です。その為、逆にミネラルオイルを主成分としたクレンジングオイルやシートを選ぶと良いでしょう。植物油主体のマイルドなものはメイクを十分に落とせず、こすり落とそうとすると摩擦によるダメージの原因となります。敏感肌に悩んでいて、どうしても低刺激なものを使いたい場合は、メイクの方を落としやすいものに変えることも検討してください。

 貴方の美容にとって1日の始まりのメイクが欠かせないように、1日の終わりのメイク落としもまた、貴方にとってとても大事なイベントです。何となく「肌に優しそう」「しっかり落ちそう」と選んでいたかもしれませんが、貴方の普段のメイクを見つめてみて、改めて合ったものを選んでみてはいかがでしょうか。

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