水なしで手軽に洗髪、ドライシャンプーってどんな製品なの?

読みもの

髪の毛を洗いたいけど流せない、そんな時にはドライシャンプー

美しい髪を保つためには日々の洗髪は欠かせません。お気に入りのシャンプーとトリートメントを使って、たっぷりとシャワーのお湯を使って洗い流す、何気ない生活の1ページですが、とても大事なひと時です。香りと温かさに包まれて、幸せを感じる方も少なくないでしょう。

しかし、山登りや海外旅行で少し人里離れた所に行ったとき、怪我や病気で入院してしまった時、あるいは地震に被災してしまった時など「きれいな水で洗い流す」ことが出来なくなることがあります。毎日のお手入れが少し面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、いざそれが出来なくなると困ります。

「水で洗い流せないけど髪は洗いたい」、そんなニーズに合わせて開発された製品がドライシャンプーです。ドライシャンプーは髪の毛につけて馴染ませ、拭き取るだけで使うことができるため、水が自由に使えない環境では重宝します。日本ではややマイナーな存在で、馴染みのない方も多いかもしれませんが、入院時の持ち物として、あるいは身体の不自由な方を介護する際、必要なものとして購入したことのある方もいらっしゃることでしょう。

ドライシャンプーはどんな製品なの?

  水を使わずに髪を洗えるドライシャンプーですが、どのような製品なのでしょうか。ドライシャンプーは古くからある粉状のものの他に、ジェル状、スプレー状、ミスト状など様々な形態のものが存在します。それぞれに使用感や効果に特徴があり、利用シーンや好みに応じて使い分けがされています。

ドライシャンプーは主に、頭皮の臭いや雑菌の発生を抑えるために使用されます。頭皮から分泌された皮脂は頭皮自身や髪の毛を守る上で大切な役割を担っていますが、時間経過と共に空気中の酸素と反応して酸化し、臭いや雑菌の発生の原因となります。また、皮脂や整髪料を取り除かないと次第に髪の毛全体がベタついてきます。

ドライシャンプーは通常のシャンプーと同じように皮脂を洗い流すことはできませんが、殺菌成分によって雑菌の繁殖を防ぎ、香り成分によって不快な臭いを感じにくくすることが可能です。また、水で洗い流せない不快感を解消することを目的として、清涼感を与える成分が配合されることもあります。皮脂を溶かす作用のある成分を入れるとある程度皮脂を浮かし、拭き取りやすくすることも可能です。

ドライシャンプーにはどんな成分が含まれているの?

 ジェルやスプレー、ミスト等の液状のドライシャンプーに含まれている代表的な成分はエタノールです。エタノール(もしくはエチルアルコール)消毒液としてもお馴染みであるように、殺菌作用に大変優れており、水にも油にも溶けやすいため成分の相性を気にせずに取り入れることが可能です。また、エタノールは揮発性に優れているため、頭皮に使用すると蒸発し、さっぱり、ひんやりとした感触を生み出します(さっぱり、ひんやり感を強くしたい場合はメントールを加えます)。洗い流せない不快感を取り除くこともできるため、一石二鳥の存在です。

 また、ドライシャンプーは汚れを落とす成分としてコーンスターチ、あるいはタルク、シリカ等の粘土鉱物を取り入れています。エタノールにもある程度の油性汚れを落とす効果がありますが、粘着性、吸着性に優れたこれらの成分を配合することにより、皮脂やホコリ等の汚れをくっつける、もしくは取り込み、拭き取りやすくします。より汚れを落とす効果を重視する場合は少量の乳化剤を添加し、汚れを浮かすようにします。

 その他の成分については製品の特徴によって異なりますが、通常のシャンプーと比較して爽やかな使用感を出すため、製品の対象層に合わせたフレーバーの香料やシリコーン等の指通りを良くする成分が好んで取り入れられる傾向があります。

ドライシャンプー、普通のシャンプーと比較してどうなの?

 ドライシャンプーは「シャンプー」と名前が付いていますが、通常の水で洗い流すタイプと比較した場合、成分に大きな違いがあります。ドライシャンプーがエタノールを中心とした処方であるのに対し、普通のシャンプーは清涼感を出すためにエタノールを使っている製品があるものの、石油系、アミノ酸系の「界面活性剤」が成分の主役です。界面活性剤は構造中の油分と馴染みやすい部分が汚れや皮脂を浮かせ、一方で水と馴染みやすい部分があるため、お湯や水で流すことが可能です。汚れや皮脂を落とす作用については、ドライシャンプーは普通のシャンプーに大きく劣ります。

 また、ドライシャンプーは普通のシャンプーと比較して洗い流さないため、成分が頭皮に残りやすくなります。主成分であるエタノールやメントールは揮発しやすく、コーンスターチや、タルク等の粘土鉱物は肌に無害であるため使用する上で大きな心配は不要ですが、頭皮に残らないといった条件を満たすため、配合可能な成分が制限されます。このような違いがあるため、水要らずの手軽さを理由として、ドライシャンプーのみでヘアケアを行うことは無理があるかもしれません。

ドライシャンプーの色々な使い方

 毎日の使用には向かないドライシャンプーですが、最近では決して「山登りや入院のお供」としてだけではなく、より広い用途で使用されるようになっています。特に海外ではその特性を活かし、普通のシャンプーと併用する方法が注目されています。

 普通のシャンプーは皮脂や汚れを落とす作用に優れていますが、その洗浄力の高さが災いし、毎日使用すると肌にとって必要な皮脂まで洗い流してしまう恐れがあります。その為、アミノ酸系の界面活性剤に代表される洗浄力が穏やかな成分が好まれるようになりつつありますが、第二の方法として、ドライシャンプーと普通のシャンプーを交互に使う方法が提案されています。ドライシャンプーで「皮脂を落とさずに殺菌や臭いのケア」を行い、3日に1回程度普通のシャンプーで「皮脂や汚れを洗い流す」ことで、乾燥肌に悩まされている場合は特に、程よいしっとり感と清潔感を両立させることが可能です。

 また、日本では経験する機会が少ないのですが、ヨーロッパ等、水道水にミネラル分が豊富に含まれている地域(ミネラルウォーターのコントレックスやエビアン等を思い浮かべて頂ければと思います)では、水道水で洗髪することによって結晶が髪に付着し、きしみの原因となってしまいます。水を使わないドライシャンプーでケアを行うことによって、髪のきしみを抑えることが可能です。

 シャンプーは時代の流行によってニーズが変化し、その時々に合わせた製品が開発されてきました。ドライシャンプーはまだ「シャンプーの代わり」としての性格が強いのですが、「洗いすぎ」が問題となっている昨今、ヘアケア商品としてより重要な役割を担うことになるかもしれません。貴方の美しい髪を守るための選択肢の1つとして、ドライシャンプーにも着目してみてはどうでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました