使用の目的:pH調整、保湿
類似した成分:乳酸、PCA-Na、グリセリン
乳酸ナトリウムとは水性の化粧品に広く利用されている成分で、化学式C3H5Naで表されるナトリウム乳酸塩の一種です。乳酸ソーダと呼ばれることもあり、常温では無色透明の液体で、水と任意の割合で混和し、油と馴染みにくい性質を持っています。皮膚内にも含まれている天然保湿因子の一種で、工業的には発酵法によって生成された乳酸を中和することによって得られます。
特筆すべき性質としては優れた保湿作用が挙げられます。乳酸ナトリウムは構造内にヒドロキシル基及びカルボキシル基を多く持っていること、ナトリウム塩の影響で肌の柔軟性を持続させる効果が高いことから多くの水分を吸収、保持します。その効果は他の天然保湿因子であるアミノ酸や代表的な保湿成分であるグリセリンよりも優れており、かつ温度、湿度に影響を受けにくいことが特徴です。また、乳酸との組み合わせでpH緩衝剤としても作用するため、その目的で用いられることもあります。
天然由来の成分で肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用できる成分です。また、保湿作用はアミノ酸と同様のものであり、組み合わせて使うことでより高い効果を期待することができます。しかし、他の保湿成分と比較して乾燥した状態での即効性にやや劣っていることなどから、単独で配合されることはなく、ヒアルロン酸やコラーゲンなど異なる作用を持った成分と一般的には併用されます。 類似した成分としてはPCA-Naが挙げられます。PCA-Naは乳酸ナトリウムと同様に天然保湿因子の一種で保湿成分として化粧品に用いられますが、構造がやや異なり、広義のアミノ酸に分類されます。また、吸湿作用については乳酸ナトリウムと比べて最終的な吸収量には劣っているものの、即効性についてはより優れています。化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で併用、もしくは使い分けがされています。
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