香りだけじゃない、柑橘系コスメの肌に嬉しい効果

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冬の果物の定番「柑橘系」

 貴方はどんな果物が好きですか。日本の四季は私達に多くの恵みをもたらしてくれますが、果物もまたその1つです。そして、冬の訪れを感じさせるこの時期にシーズンを迎えるのが、みかんやレモンに代表される「柑橘系」に分類される果物です。愛媛や和歌山、静岡などの生産地を訪れると、たわわに実った柑橘類が潮風に吹かれ、収穫を今かと待ちわびています。その種類も様々で、酸味の強いものからとても甘いもの、大きなものから小さなものまで好みに応じて好きなものを選ぶことができます。

 この「柑橘系」は化粧品やアロマの世界でもお馴染みの存在です。柑橘系のフレッシュな香りは老若男女を問わず多くの人に好まれ、収穫される時期とは異なる、「夏の香り」のスタンダードとして君臨しています。また、柑橘系の成分は香りを楽しむだけではなく、スキンケア製品や洗顔料、入浴剤などにも広く取り入れられ、「柑橘系コスメ」として存在感を発揮しています。一体、どのような効果を期待することができるのでしょうか。

柑橘系エキスの効果①皮脂を洗い流し、毛穴を引き締める

柑橘系のエキスに期待できる効果の1つは優れた洗浄作用です。柑橘系に含まれる代表的な成分の1つであるリモネンは様々なアロマの香り成分として知られているモノテルペンの一種で、柑橘系を思わせるフレッシュな匂いが特徴的ですが、皮脂や一般的な油性成分とも馴染みやすい性質を持っています。そのため、洗顔料などに配合するとよく皮脂を落とします。その効果は天然由来の成分としては非常に強く、リモネンは化粧品以外でも、洗剤の汚れ落とし、あるいは油性成分を溶かし込む溶剤として用いられることがあります。

 洗浄力の強さは時にかえって皮脂の分泌量を上げてしまうことに繋がりかねませんが、グレープフルーツやレモンに多く含まれているクエン酸、リンゴ酸には収れん作用があるため、果実由来のエキスを肌につけると表面のタンパク質が変性して毛穴を引き締め、皮脂の過剰な分泌を防ぎます。収れん作用は特に皮脂が多くなりがちな夏場には重宝される効果で、その爽やかな使用感とも相まって、夏向けの化粧水に好んで取り入れられています。

柑橘系エキスの効果②天然保湿因子による保湿作用

 柑橘系のエキスに期待できる効果は皮脂量の抑制だけではありません。柑橘系エキスには肌の保湿に役立つ効果も確認されています。先程の「毛穴を引き締める」効果は柑橘類の「酸味」に由来するものでしたが、オレンジやグレープフルーツなどに多く含まれているフルクトースやスクロース、グルコースといった糖分、すなわち「甘味」を生み出す成分はいずれも分子内に多くの水分子を取り込む性質があるため、肌につけると肌表面により多くの水分が取り込まれるようになり、しっとり滑らかな肌触りになります。また、柑橘類に少量含まれているアスパラギン酸等のアミノ酸も水分子を取り込みやすく、また、肌のタンパク質ともより馴染みやすいため、同様の保湿効果を期待することができます。

 この糖類やアミノ酸による保湿効果はよく知られていますが、化粧水などに大量に糖分を使用するとべたつきの原因となり、使い心地を損ねてしまいます。しかし、レモンなど一部の柑橘類に由来する成分の中にはべたついた感触を緩和する働きがあることが知られています。また、洗浄成分として紹介したリモネンには肌と馴染みやすい油性成分として、肌からの水分蒸発を防ぐ働きがあることも確認されています。色々な成分の組み合わせが、柑橘系コスメ特有の「しっとり」「さわやか」感を生み出しています。

 柑橘系コスメのその他の効果

 皮脂のケアや保湿を目的として使われることの多い柑橘類コスメですが、中には特有の効果を持っているものも存在します。例えば、柚子やレモンのエキスに含まれているα-ピネンやシトラールには一般的に知られている香り成分しての効果だけではなく、肌を適度に刺激し、血管を拡張させる作用があるため、入浴剤などに身体を温める目的で利用されることがあります。また、ビタミンCが多く含まれるものでは抗酸化作用によるシミやシワ、たるみの防止等も期待することができます。

柑橘系コスメの注意点

 身近な果物由来の成分として、多くの嬉しい効果を持ち合わせている柑橘系コスメですが、使用する上では注意すべき点もあります。まず気を付けるべきことは「果実エキス」の使用の有無についてです。柑橘系コスメはとても身近な存在ですが、柑橘系のフレーバーを謳った製品の中には香料や色素のみが使用され、洗浄や保湿の効果を期待できないことがあります。効果を実感するためには、「果実エキス」が含まれた製品を選ぶと良いでしょう。

 また、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸、α-ピネンやシトラール、リモネンといった成分は健康な状態で適切に使用する分にはいずれも問題ない成分ですが、肌が弱っている状態では刺激を感じることがあります。特に高濃度のリモネンは皮脂を洗い流し、肌のバリア機能を弱めてしまうため、使い方には注意が必要です。柚子やグレープフルーツに関しては紫外線に対する「光毒性」も気になるため、使い方だけではなく、保管方法にも工夫が必要です。

柑橘系コスメのすすめ

 このように、普通の化粧品と比べてやや注意が必要な点があるものの、柑橘系コスメはその爽やかな香りと様々なスキンケア効果により、私達の毎日の生活をより彩ってくれる存在です。冬の風物詩として食べたりお風呂に入れたりするだけではなく、柑橘系を使った化粧品についても試してみてはいかがでしょうか。柑橘系コスメはデパートやドラッグストアで見かけることもありますが、生産地の瀬戸内地域を中心に、いわゆる「ご当地コスメ」も多く販売されています。あれこれ試してみることで、きっと貴方のお気に入りのアイテムが見つかることでしょう。

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