男子にとっても大切!日焼け止めのすすめ(男子のためのスキンケアシリーズ第2回)

しみ

日に焼けた肌、「男らしさ」の象徴?

 日に焼けた肌はずっと自分の勲章だと思っていた。学生時代はアウトドアの体育会系で、炎天下でも練習漬けの毎日、当然のようによく日焼けして、色白の卓球部やバスケットボール部にどこか優越感を持っていた。社会人になって引退はしたが、キャンプやスノーボードが大好きで、週末は出掛けているから相変わらず、よく日に焼けている。昔の写真を見返してみても、色白な姿はどこにもなかった。

 しかし最近、日焼けに後悔することが増えてきた。以前は何ともなかったが、太陽の下で思う存分遊んでいると、露出した部分が痛くなってしまう。また、以前は何ともなかったが、鏡を覗くと顔に小さなシミができている。キャンプやスノーボードは止めたくないけれど、痛みやシミは鬱陶しい。彼女や友人に日焼け止めを薦められても恥ずかしいし、ベタベタしたり白くなったりするからと断っていたが、そろそろ自分も使った方が良いのだろうか。

そもそも「日焼け」とは?

 「日焼け」が誇らしいことなのか、それとも避けた方が良いものなのか、男性にとっては悩ましい問題です。そもそも、日焼けとはどのような状態なのでしょうか。日焼けは日光に含まれる紫外線によってもたらされる現象です。紫外線は可視光よりもエネルギーの強い目に見えない光で、肌に照射されると内部組織で大量の活性酸素を発生させ、組織を傷つけます。特にUV-Bと呼ばれる波長の短い紫外線はエネルギーが強く、肌の内部組織にダメージを与えるため、肌の火傷のような痛みの原因となってしまいます。

 一方、肌には紫外線から内部を守る働きが備わっています。いわゆる「日焼け」がその代表的なもので、紫外線が当たることによってメラニン色素が合成され、活性酸素による組織へのダメージを防ぎます。肌に溜まったメラニン色素は肌が正常な状態であれば時間の経過と共に代謝され、徐々に元の肌色に戻りますが、紫外線のダメージが強い場合や加齢で肌が弱っている場合、表面に残ってシミの原因となります。また、肌内部のダメージが上手く修復されない場合、たるみやシワの原因となってしまいます。

日焼け止めとはどんなアイテムなの?

 アウトドアで過ごしたいけれど、なるべく日には焼けたくない、そんな時に役に立つアイテムが「日焼け止め」です。日焼け止めには幾つかの種類があり、かつてはクリームタイプのものが一般的でしたが、最近ではスプレーやミストタイプのものも見かけるようになりました。露出した肌の部分に塗ることによって、日光の紫外線、とりわけ刺激の強いUV-Bによる肌への刺激を抑えることができます。

  日焼け止めには大きく分けて紫外線吸収剤、紫外線散乱剤と呼ばれる成分が含まれています。紫外線吸収剤として代表的な成分はメトキシケイヒ酸エチルヘキシルやオキシベンゾンですが、紫外線、特にUV-Bの部分をよく吸収し、肌に影響を及ぼさないようにする働きがあります。一方、紫外線散乱剤として代表的な成分は酸化チタンや酸化亜鉛で、紫外線が肌に届く前に反射、散乱させることにより、影響を軽減することを目的としています。

 日焼け止めの性能はSPF値、PA値と呼ばれる数字で表現されます。SPFは紫外線の中でも有害なUV-Bによって皮膚がダメージを受けるまでの時間を示しており、何も塗らない状態(SPF1)を20分と定義し、SPF値が30の場合、20分×30倍の時間、日焼け止め効果が持続します。一方、PA値はUV-Aによるダメージを防ぐ効果を示しており、PA+~PA++++の4段階で表現され、+の数が多い程日焼けを防ぐ効果が高いとされています。

日焼け止めの使いにくさ「ベタつき」「白浮き」の原因

 肌を紫外線から守ってくれる日焼け止めですが、日頃ファンデーション等を使わない男性にとっては違和感が気になる事もあるでしょう。特に顔に使用するとベタツキや元の肌色よりも白っぽくなる、いわゆる「白浮き」が気になります。

 日焼け止めのベタツキは紫外線吸収剤の溶媒として利用されるシクロペンタシロキサンやジプロピレングリコールといった油性成分に起因します。また、日焼け止めが落ちないようにするため、皮膚の表面に膜を張って水をはじく、ジメチコン等が利用されることがあります。この皮膜は機能性には優れていますが、日焼け止めに強いべたつきを感じる原因ともなります。

 また、日焼け止めの「白浮き」は紫外線散乱剤として利用される酸化チタンや酸化亜鉛によるものです。酸化チタンや酸化亜鉛はファンデーションの主成分としても有名で、紫外線吸収剤と比べて低刺激であることが特長です。紫外線散乱剤は「肌に優しい」日焼け止めに多く利用されていますが、目に見える光も反射するため肌に塗ると白く目立ってしまいます。

上手な日焼け止めの選び方、取り入れ方

 最近では男性のスキンケアも一般的になりましたが、「日焼けを防ぎたい」という思いの反面、「あまり目立ちたくない」とも感じている方は多いでしょう。数ある製品の中で、どのようなものを選べば良いのでしょうか。

 海や山で一日過ごす、長時間スポーツをするといった状況では、日焼け止めによる肌への刺激よりも、紫外線によるダメージを防ぐことが最優先になります。そのため、SPF値やPA値のなるべく高いものを選ぶと良いでしょう。SPF値やPA値の高いものは紫外線吸収剤がメインになるため、白浮きも目立ちにくい商品が多いです。SPF値の低い低刺激の商品はどちらかといえば毎日の生活で「日に焼けたくない」と考えている方に向いています。

 もしSPF値、PA値の高い、手頃な値段の日焼け止めが肌に合わないと感じた場合は低刺激を謳ったものより(紫外線散乱剤が多く、白浮きが気になります)、保湿や美容成分配合のものを選ぶのがお勧めです。紫外線吸収材自体の刺激はありますが、付け心地が低価格帯のものよりも良く、長時間塗っていても重さを感じない製品が多いです。

 また、肌は労わりたいけれども、肌を健康的に焼きたいといった方にはサンオイルの利用がお勧めです。サンオイルは日焼け止めの一種ですが、肌の色を変えるUV-Aの量をキープする一方で、肌に炎症を引き起こすUV-Bをよく防ぎます。シミ防止のことを考えればUV-Aも防いだ方が良いのですが、自身の価値観に合わせて取り入れてみても良いでしょう。

 日に焼けた肌は時に魅力的に映りますが、必ずしも「健康的」な状態とはいえず、様々なトラブルの原因となります。心身だけではなく、肌にとっての健康を保つためにも、日焼け止めをアウトドアライフのお供に加えてみてはいかがでしょうか。

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