30代男性です、スキンケアと聞きますが、何から始めればよいですか?
最近、男性のスキンケアに関する商品を多く見かけるようになりました。以前はスキンケアといえば「女性のお悩み」のイメージで、男性向けの化粧品は主に髪の毛に関するものが多かったのですが、近年、身だしなみに関する意識の変化や韓国等から「男性も美しくあるべき」といった価値観が持ち込まれた影響で、デパートやドラッグストアで「男性の」「肌の悩みに応える」化粧品の売上が大幅に伸びています。
まだ女性向けと比較すると製品の種類は少ないものの、化粧水やクリーム、ローション等、数多くの製品が並んでおり、しかもどの製品を選んでも「保湿」や「きめ細やかさ」等、似たようなキーワードが並べられており、どれを使って良いのか分からないといった方も多いことでしょう。乾燥肌で悩んでいる、最近シミが目立つようになった、そういった個別のお悩みがあればそれに応える良い商品がありますが、特に気になっていない、年相応だと思っているといった場合は、まず何から始めたら良いのでしょうか。
貴方のヒゲ剃り、肌にとても負担をかけています
日々の生活の中で、肌に悪い習慣は色々とあります。飲酒に喫煙、脂肪分の多い食事、寝不足にストレスといった習慣はどれも肌には良くないのですが、最も肌を傷つけているルーティンは「ヒゲ剃り」です。ヒゲの濃さによって毎日の方もいらっしゃれば、数日に1回の方もいらっしゃるかもしれませんが、肌に剃刀の刃を当てることにより、多かれ少なかれ肌に小さなキズと刺激を与え続けています。また、肌を傷つけ、刺激することによって、「肌を守るためにヒゲが生える」悪循環となり、一層ヒゲの濃さに悩まされることになります。
ヒゲの悩みを解決する方法としては「脱毛」も選択肢の1つで、以前よりは随分と手軽になりましたが、まずはスキンケアの第一歩として、「ヒゲ剃りで傷ついた肌をどうケアするか」を考えてみましょう。そして、ヒゲ剃り後のケアに特化して開発、発売された化粧品がアフターシェーブローションです。アフターシェーブローションはとても身近な男性化粧品として、ドラッグストアやコンビニエンスストアで手に入れることができます。
アフターシェーブローションの役割①殺菌及び肌のダメージの修復
アフターシェーブローションにはどのような成分が含まれているのでしょうか。アフターシェーブローションに求められる第一の役割はヒゲ剃り後の傷ついた肌に雑菌が入り込むのを防ぎ、傷の治りを早くすることです。古くからこの役割を担っているのはエタノールです。エタノールは消毒液の成分としても有名ですが、アフターシェーブローションでも「手軽に使えて」「安全で」「消毒作用の高い」成分として使用されています。コンビニエンスストアやドラッグストア等で買える製品はエタノールを主成分としています。
しかし、最近ではより傷を治す作用に特化した成分が取り入れられており、代表的な例としてはグリチルリチン酸ジカリウムが挙げられます。グリチルリチン酸ジカリウムは薬草として知られる甘草に含まれる成分で、肌が傷つくことによって発生する炎症性サイトカインやプロスタグランジンE₂、ヒスタミンといった「肌に炎症を引き起こす」成分の作用を抑えることにより、ヒゲ剃り後の肌荒れを防ぐ効果が期待できます。この成分は原料であるカンゾウ根エキスとして化粧品に配合されていることもあり、同様の効果を期待できます。
また、傷を治す過程で細胞が増殖する作用を助ける成分として、アラントインが取り入れられることがあります。アラントインがどうして傷を治すのかについては不明な点も多く、研究が進められていますが、その効果は認められており、アフターシェーブローションを含めた様々な化粧品に取り入れられています。
アフターシェーブローションの役割②肌の保湿
アフターシェーブローションに求められるもう1つの役割としては「肌の保湿」が挙げられます。剃刀の技術の進歩によって以前のように肌は傷つかなくなり、強い殺菌作用は必ずしも求められなくなりましたが、「傷ついた肌を治し、良い状態に保つための自己修復能力を上げる」ため、最近では化粧水や乳液と同様に、保湿機能に重点を置いた製品が多くなりました。
アフターシェーブローションの代表的な保湿成分はグリセリンです。グリセリンは製品にとろみをつけ、肌に塗りやすくする役割も担っていますが、分子の構造が水を取り込みやすいため、肌から水分を逃がしにくくする保湿効果を期待することができます。アフターシェーブローションの大半の製品にとろみを感じるのはその為です(よりとろみをつけるためにはとろみに特化したカルボキシビニルポリマーを使用します)。
また、より保湿効果に特化した成分が配合されることがありますが、代表的な物質としてはヒアルロン酸が挙げられます。ヒアルロン酸は肌の内部で保湿作用を担っている代表的な成分で、分子の構造内に水を取り込む作用に大変優れています。化粧品として肌に塗った場合、分子量が大きいため肌の奥深くまでは浸透しませんが、表面で同様の作用を発揮し、肌の水分量をキープすることが可能です。
手軽にスキンケア、始めてみませんか?
アフターシェーブローションはあくまでも「ヒゲ剃り後の肌をケアする」ことが目的であるため、それ以外の効果、例えば乾燥肌や脂性肌、シミ予防といった個別のお悩みの解決については化粧水や乳液、クリームといった製品が適しています。また、主成分として使用されているエタノールは乾燥肌にとっては皮脂を奪ってしまい、逆効果となる時もあります。
しかし、そういったことを差し引いても、アフターシェーブローションは男性のスキンケアの入門編としてまず使ってみた方が良い製品です。ヒゲ剃り後の荒れた肌の炎症を防ぎ、肌の保湿を担うといった地味な効果ですが、毎日使い続けることによって「肌の落ち着き」を感じることができるでしょう。肌が整うことによってヒゲが目立ちにくくなり、より清潔な印象を与えることができます。貴方のスキンケアの第一歩として、まずはそこから試してみてはいかがでしょうか。
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