乾燥肌対策に「加湿器」、どうして効果があるの?どうやって選べばいいの?

乾燥

「乾燥の季節」の訪れ

 焼け付くような熱さと湿気に悩まされた夏もようやく終わりが見え、過ごしやすい日が増えてきました。まだ半袖で過ごせる日もありますが、「衣替え」を始めた、という方も多いのではないでしょうか。そして、束の間の穏やかな季節を1、2ヶ月過ごすと冬を迎え、今度は「寒さ」と「乾燥」という正反対の現象に悩まされることになります。冬は肌にとっては夏以上に厄介な季節で、乾燥はただ鬱陶しいだけではなく、肌荒れや化粧崩れなど、多くのトラブルを引き起こします。

 では、どうして冬は空気が乾燥するのでしょうか。湿度とは「空気中の水分量」を「空気が含むことのできる水分の最大量(飽和水蒸気量)」で割ったもののことを指しますが、飽和水蒸気量は温度に比例するため、冬は夏に比べて同じ湿度であっても水分の絶対量が少なくなります。エアコンなどで部屋の空気の温度を上げると分母の飽和水蒸気量のみが増えるため、湿度が大きく低下し、「乾燥」を引き起こします。

 そして、空気が乾燥すると周囲の水分を取り込みやすくなります。ペット用の水槽の水が蒸発したり、植木鉢が干からびたりするだけでも困りものですが、私達の肌に含まれている水分までもが蒸発し、失われてしまいます。保湿効果をうたった化粧品は数多くありますが、それだけではやや頼りない感じがします。

乾燥の季節にはマスト!「加湿器」の肌への効果

 そんな乾燥の季節に活躍するアイテムが「加湿器」です。加湿器は冬場の風邪を予防するアイテムとして知られていますが、肌の乾燥を防ぐ意味でも重要な役割を果たします。乾燥した部屋で加湿器を使うと水蒸気が空気中に供給されて湿度が上がりますが、それに伴って肌からの水分蒸発が抑制されます。そのため、乳液やクリームの効果が補完され、みずみずしい肌を保つことができます。高価な加湿器の中にはマイナスイオンの発生など、健康や美容にとってプラスアルファの機能が備わっているものもありますが、大事なことはあくまでも「空気中の水分を補う」ことなので、ごく簡単なアイテムで「空気中の水分を補う」だけで十分な効果を期待できます。

 加湿器で保つべき理想的な湿度はおよそ50%から60%と言われています。湿度が50%以下になると肌の水分が蒸発によって失われやすくなり、乾燥肌を引き起こす原因となります。一方、それより高い湿度であれば肌からの水分蒸発自体は防ぐことができますが、今度は蒸発しないことによる「蒸し暑さ」や「ベタつき」、あるいは肌の炎症を引き起こす雑菌が繁殖する原因となってしまいます。冬場は空気がとにかく乾燥するので「加湿しすぎ」は通常心配しなくて良いですが、部屋に温湿度計を置いておくと良いでしょう。

加湿器の種類、色々あるけどどれを使えば良いの?

 乾燥肌の防止に効果的な加湿器ですが、大きく分けて「超音波式」「スチーム式」「気化式」の3種類が存在します。「超音波式」は最も手軽なもので、タンクに入れた水分に超音波を当て、ミスト状にして噴出することによって加湿します。自分のデスクや小さめの部屋であれば基本的にこれで十分ですが、雑菌が溜まりやすいためこまめな掃除が必要です(ただし、比較的掃除が楽なアイテムが多いです)。また、水道水のカルキも一緒にミストとして飛んでしまうため、白い粉のようなものが付着してしまうことがあります。

 また、スチーム式と気化式はいずれも水蒸気によって加湿する方式で、前者はタンク内の水を加熱して水蒸気にすることによって、後者はフィルターに水を染み込ませ、風を当てて放出することによって加湿します。いずれも超音波式よりも加湿能力が高く、熱やフィルターの力によって雑菌の繁殖も抑えられますが、やや加湿器自体が大型で、スチーム式は傾けると熱湯がこぼれて火傷する恐れがあります。リビングなどの大きな部屋ではこちらを使うと良いでしょう。

加湿器の注意点は?日頃のスキンケアはどうしたらいいの?

 このように、どれを使っても私達の肌を潤わせてくれる加湿器ですが、使い方に関しては少しだけ注意が必要です。最もよくある間違った使い方としては、「ミストを直接浴びる」ことが挙げられます。確かにミストや蒸気を直接浴びると肌が「潤った」ように感じられますが、化粧水のように浸透する成分が含まれていないため、肌の水分量を増やすことはできません。それどころか、逆にミストに含まれる水分が必要な成分を奪ってしまったり、カルキが肌荒れの原因となってしまったりすることがあるため、避けた方が良いでしょう。また、超音波式加湿器は先に述べたようにこまめな掃除が必要で、手入れが不十分だと原理上、ミストと一緒に雑菌までもが飛び散ってしまいます。

 加湿器を使っていても冬場はやはり乾燥の季節、日頃のスキンケアは欠かせません。部屋を加湿することによって肌からの水分の蒸発は抑えられますが、化粧水や乳液などを念入りに使い、失われがちな水分を補ったり、肌自体の保湿、保水力を上げたりするように心がけると良いでしょう。

 冬の季節、どれほどスキンケアに気を遣っても乾燥してしまう、そんな悩みを持った方は多いと思います。化粧品をあれこれ試してみるのも良いのですが、パーソナルスペースの「加湿」についても、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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