暑い季節の新しい味方「シートタイプの冷感タオル」
今年もまた暑い季節が到来しようとしています。年々厳しさを増すばかりの夏、少しでも涼しく過ごすためのアイテムがジャンルを問わず開発され、店頭に並べられています。化粧品もその例外ではなく、以前は「ひんやり」「クール」といえば制汗剤や一部のメンズコスメの印象でしたが、最近では1つのジャンルとしてすっかり定着し、涼むことを目的としたスプレーやボディーシートなどもよく見かけるようになりました。
そんな中で最近注目されているアイテムの1つがシートタイプの冷感タオルです。冷感タオルはここ数年で定番になったもので、タオルに水を含ませて振ったり、そのまま首に巻いたり肩にかけたりすることでひんやりした感触を得ることができますが、昨年あたりからシート状の個包装のものを見かけるようになりました。使う際には封を切って取り出し、通常の冷感タオルと同じように使うことで、より手軽にひんやり感を味わうことができます。また、従来のひんやり感を強調したボディーシートはメントールの刺激が気になりましたが、シートタイプの冷感タオルは使用感がややマイルドです。一体、どんな成分が使用されており、どのような原理で「ひんやり」するのでしょうか。
「水の気化熱」でひんやりを実現
シートタイプの冷感タオルは様々な会社から販売されていますが、共通の特徴として、一般的なボディーシートと同じように、あるいはもっと多くの水分を含んでいることが挙げられます。水は化粧品にとって最も重要な成分の1つで、皮脂や汚れを落とす、肌に浸透させて潤わせる、スキンケアに役立つ成分を溶かすなど、ありとあらゆる役割を担いますが、冷感タオルでは「身体を冷やす」ための主役として用いられています。
化粧品でひんやり感を出すための成分としてはメントールやその誘導体が有名で、肌につけると皮膚内に存在するTRPチャネルが刺激されることで冷たさを感じますが、肌の温度自体は下がりません(ただし、シートタイプの冷感タオルにもひんやり感を出すために利用されています)。しかし、水を肌につけると皮膚から水へ熱が伝わることによって熱を奪い、また、蒸発する際にさらに多くの熱を奪います。この現象自体はどの液体でもみられることですが、水は特有の水素結合の影響で、非金属の液体の中で熱伝導率(熱の伝わりやすさ)や気化熱(液体が蒸発する際に必要な熱)が非常に高いといった特徴があるため、他の液体と比較して最も効率的に身体を冷やすことができます。
瞬間的なひんやり感は気化熱の大きさだけではなく、気化しやすさにも左右されるため、冷感タオルには水よりも気化しやすいエタノールが殺菌目的も兼ねて併用されているケースが多いです。しかし、水はエタノールと同様の重量で比較した場合、蒸発の際に3倍近くの熱を奪うため、シートの「実際の」冷却効果の大部分は水によるものです。
水を蒸発させるための工夫
このように、水やエタノールの蒸発によって肌の温度を下げる効果がある冷感タオルですが、普通のフェイスシート等と比較してかなり冷却効果に優れており、その理由として商品の「大きさ」が挙げられます。冷感タオルはフェイスシートと比較して広げると3倍位の大きさがありますが、液体が蒸発する速さは空気と接触している部分の表面積に比例するため、商品を広げて肩などにかけることで表面積が大きくなり、より多くの水分を効率的に蒸発させることができます。また、タオルの素材には比表面積が比較的大きなもの使用されており、水分が蒸発しやすいようになっています。
一方、冷感タオルにはより多くの水分を留めるための工夫もされています。多くの製品には保湿、保水作用に優れたヒアルロン酸やコラーゲン、エチルヘキシルグリセリン、及びそれらを水と馴染ませるための界面活性剤(PEG-40水添ヒマシ油)などが利用されており、水分を留めやすく、失いにくいようになっています。また、商品はスティック状の個包装で密閉されているため、使用前に乾燥してしまうことを防ぐことができます。
冷感タオル、どんな時に便利なの?
このように、水分を蒸発させることによってひんやり効果を生み出すシートタイプの冷感タオルですが、屋外を歩いて移動したり、スポーツを行ったりする時にはとても便利な存在です。従来のボディーシートやミストのように「ひんやり感」で暑さを凌ぐのではなく、首にかけて使うことで実際に首周りの温度を若干下げることができるため、暑さが気になってきたこの時期に使うことで、身体を冷やしてリフレッシュすることができます。また、タオル生地の繰り返し使えるタイプと比較してかなりコンパクトで、ポーチの中にも入るサイズのため、より手軽に使えることもメリットです。
しかし、本格的な夏の時期にはやや力不足な面も否めません。シートタイプの冷感タオル1枚に含まれている水分はそれ程多くなく、35℃以上の猛暑日の環境で首周りの温度を2、3℃下げても暑さが多少和らぐ程度です。また、1枚あたりのひんやり効果の持続時間も30分〜〜1時間程度と長続きせず、何枚も使用すると意外にコストがかさみます。そのため、真夏に使用する場合、あるいは長時間屋外で過ごすような場合は他のアイテムを使った方が良いでしょう。
そのような欠点こそあるものの、シートタイプの冷感タオルは手軽にひんやりを感じたい、といった強いニーズを満たしてくれる便利な存在です。まだ身体が暑さに慣れきっていないこの時期、外での時間を少しでも快適にするため、一度手にとってみて試してみてはいかがでしょうか。
