ビタミンC「誘導体」とはどんな成分なの?種類によってどんな違いがあるの?

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化粧品向けビタミンC、「ビタミンC誘導体」

 貴方は美容に良いビタミン、と聞いてどんなものを思い浮かべますか。ビタミンはどれも私達の美容に深く関わる存在で、肌のターンオーバーを促進するビタミンA、油の酸化を防ぐビタミンEなど、それぞれが特徴的な役割を担いますが、最も有名なものはビタミンCです。ビタミンC(アスコルビン酸)はアセロラやレモンなどの果物を中心に含まれているビタミンで、肌の老化を防ぐ効果が知られており、食事やサプリメントを通して摂取するだけではなく、化粧水や美容液など「肌につけて染み込ませる」方法もお馴染みです。プチプラからハイブランドまで、本当に多くの種類の化粧品にビタミンCが使用されています。

 ところで、このビタミンCですが、化粧品に配合されている場合、「ビタミンC」と記載されていることは少なく、ビタミンC「誘導体」もしくは○○アスコルビル✕✕といった名前が使用されています。一体、ビタミンC誘導体とはどんな成分で、ビタミンC(純粋ビタミンC)とはどんな違いがあるのでしょうか。また、どうして化粧品成分として好んで用いられているのでしょうか。

使いやすい改良版のビタミンC「誘導体」

 (純粋)ビタミンCは化学式C6H8O6で表されるラクトンの一種ですが、構造内にエンジオールと呼ばれる炭素二重結合のそれぞれにヒドロキシルがついた構造を持っています。この構造は電子を非常に手放しやすいため、活性酸素等のラジカル(不対電子を持っており、他の物質と連続的に反応する分子)と作用させると電子を与えて電子対を形成し、安定化させる働きがあります。この反応はビタミンCによるラジカルの「還元」ですが、化粧品の世界ではしばしば「抗酸化作用」と呼ばれており、シミやシワの予防に効果があるものとして知られています。

 ビタミンCは抗酸化作用に特に優れた成分の1つですが、反応性が高いが故に空気中の酸素や光、水分などによって容易に分解されてしまうため、保存条件が悪いと数週間でその効果を失ってしまいます。また、保存条件が良い場合であっても、ビタミンCを肌につけても直ぐに分解されてしまって十分な効果を実感できない、あるいは分解されることによって肌に刺激をもたらしてしまう、といったことがあります。

 そこで、不安定なビタミンCに他の物質を結合させて化学的な安定性を高め、化粧品に使いやすくするための試行錯誤が繰り返されましたが、その結果として生まれた成分がビタミンC誘導体です。ビタミンC誘導体には様々な種類がありますが、いずれもそのままの状態では比較的安定で、肌につけると酵素等の働きによって分解されて純粋なビタミンCと同じように機能する、といった共通の特徴を持っています。この改良のお陰で、それまで化粧品成分としての実用性にやや欠けていたビタミンCを身近な化粧品成分として利用できるようになりました。

ビタミンC誘導体にはどんな種類のものがあるの?

 ビタミンC誘導体は水や油との馴染みやすさに応じて、「水溶性」「脂溶性」「両親媒性」の3種類に分類されます。水溶性ビタミンC誘導体は主に化粧水などに用いられていますが、代表的なものとしてリン酸アスコルビルMg(APM)が挙げられます。この成分はアスコルビン酸のヒドロキシル基の一部をリン酸エステル化したもののマグネシウム塩で、純粋ビタミンCよりも水に溶けやすく、pHに対する安定性が高いことが特徴です。比較的古くから利用されてきた成分で、安全性も比較的高いのですが、極性が強く油と馴染みにくいため、肌への浸透性が若干低いことが弱点です。また、アスコルビルグルコシド(AA-2G)はアスコルビン酸にグルコースを反応させたもので、リン酸アスコルビルMgよりも作用自体は穏やかではあるものの、より構造が安定しており、効果が長時間持続します。

 一方、脂溶性ビタミンC誘導体は主にクリームなどの油性製品を中心に利用されていますが、代表的なものとしてテトラヘキシルデカン酸アスコルビル(VC-IP)が挙げられます。この成分はアスコルビン酸のヒドロキシル基4個にイソパルミチン酸を結合させたエステルで、油ととても馴染みやすく、熱に対する安定性が高いことが特徴です。また、皮脂の成分と組成が近いため肌への浸透性にも優れており、水溶性ビタミンC誘導体の弱点を補うことができます。しかし、分子全体の大きさに対して抗酸化作用を発揮するアスコルビン酸本体の割合が少ないため、抗酸化作用自体がやや弱くなります。

  両親媒性のものはややマイナーな存在ですが、一部の美容液やドクターズコスメなどを中心に利用されている成分で、代表的なものとしてはパルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)が挙げられます。この成分は水にも油にも馴染みやすいため肌への浸透性に優れており、高い効果が期待できますが、構造がやや不安定で分解されやすく、また、他のビタミンC誘導体と比較してかなり高価です。

ビタミンC誘導体、どれを選べばいいの?

 このように、様々な種類があるビタミンC誘導体ですが、どの成分も長所、短所両方があるため、自分のニーズや季節に合わせて選ぶことをお勧めします。水溶性ビタミンCは他のアイテムと比較して即効性に優れ、使用感が比較的さっぱりとしています。しかし、肌が弱っている状態では刺激を感じることがあり、特に最近注目されているVCエチルで顕著です。また、「純粋ビタミンC」については水溶性ビタミンCの特徴をより強くしたものとなり、効果がとても分かり易いのですが、化粧品成分としては刺激がかなり強めです。

 一方、脂溶性ビタミンCの特徴は水溶性とは大きく異なり、作用が穏やかなため効果が長時間持続し、使用の際に刺激を感じることも多くないでしょう。しかし、皮脂と似たような構造を成分中に含んでいるため使用感が比較的オイリーで、即効性は水溶性のものに劣ります。両親媒性のものについては水溶性、脂溶性のメリットを兼ね備えており、脂溶性のものよりもさらに肌に馴染みやすいのですが、一般的にやや高価で、製品自体の流通量も少なめです。

 「ビタミンC」はあまりにも有名で、おそらく誰もが知っている化粧品成分の1つです。しかし、化粧品の世界では「ビタミンC誘導体」という形で少しでもその効果を高め、肌への刺激を減らすための研究が日々進められており、今後も新しい成分が生まれてゆくことが予想されます。化粧品以外のサプリメントなども含め、ビタミンCは今後、ますます美容の世界でその活躍の機会を増やしてゆくことでしょう。

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