貴方の印象を左右する「眉メイク」
大事なイベントを控えた勝負の日、美容院にも行ったばかりで、早起きしてメイクも入念にしたのに何となく締まらない、そんな経験はないでしょうか。ふんわりとした印象を出したかったのにキツくなってしまったり、逆にクールビューティーを目指していたのに優しくなってしまったり等、メイクでいつもと違う印象を作るのは簡単に見えて、意外に難しいものです。そして、「締まらなさ」の大きな原因の1つとして「眉毛」が挙げられます。眉毛の形や濃さで顔の印象は大きく変化しますが、イメージを変える度に眉毛自体を整えるのは中々難しく、失敗すると大変です。
そんな時に重宝するのが眉メイクです。眉メイクを目的とした製品にはアイブロウパウダーアイブロウペンシル、眉マスカラなどがありますが、上手く使うことでより自由に眉の形を整え、魅せたい顔を作ることができます。手軽に使えて大きく印象を変えることができる眉メイクですが、色味もブラックやチャコールなど濃い色で、肌への塗り方もファンデや口紅とはちょっと異なります。一体、どんな成分でできているのでしょうか。
眉メイクの成分①「色味をつくる成分」
眉メイクに必ず欠かせない成分は「色味をつくる」ものです。「魅せる」「見せる」を目的とした眉メイクには主に黒や茶色を基調とした様々なバリエーションが存在しますが、ほぼ全ての製品に「酸化鉄」と呼ばれる成分が含まれています。酸化鉄には鉄原子と酸素原子の結合方法が異なった黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ(赤酸化鉄)の3種類が存在し、配合を調整することによって様々な肌や毛髪の色味が表現可能です。そのため、眉メイク製品だけではなく、ファンデーション等のベースメイク製品でも一般的に用いられています。
眉の色味は酸化鉄だけでも表現することができますが、より自然で明るい色を出すため、しばしば白色顔料である酸化チタンが用いられています。また、青みがかった製品では群青(ウルトラマリン)、黒に近い製品ではより強い黒色顔料であるカーボンブラック等が用いられます。これらはいずれも無機顔料で、比較的自然な色味を出すことができますが、赤などを入れてビビッドな発色にしたい時は有機顔料であるタール色素が用いられることもあります。
酸化鉄と白色、黒色顔料だけで作った製品はマットな質感になりますが、光沢感を出したい場合は無機顔料の一種であるタルクやマイカが配合されます。「眉毛」を対象としているため、雲母などのラメ成分はあまり使用されませんが、タルクやマイカ、酸化チタンで自然な光沢を出すことにより、髪色に合わせたり、ボリュームを多く見せたりすることができます。
眉メイクの成分②「肌に馴染ませ、落ちにくくするための成分」
先に紹介した顔料を眉毛もしくはその周辺に付着させることで、「眉を書く」ことができますが、顔料だけでは肌に上手く馴染まず、また、汗や水などで落ちてしまいます。したがって、眉メイク製品には顔料を「肌に馴染ませ」「落ちにくくする」ための成分が使用されています。
肌に馴染ませるための成分としては、パウダー系の製品であればパウダーファンデーションの体質顔料としても使用されているタルクやカオリン等の無機鉱物、リキッド系の製品であれば製品のテーマや質感に合わせた各種の植物油、鉱物油、あるいはそれに由来する成分が用いられています。これらの成分を配合することにより、肌表面の油分と顔料がよく馴染み、スムーズに「眉を書く」ことができるようになります。
一方、メイクを落ちにくくする成分としては、大きく分けてメイクを汗や水から守るもの、保湿によって化粧崩れを防ぐものの2種類が使用されています。前者としてはアクリレーツコポリマー(もしくはそれに類似するポリマー)が代表的で、増粘剤としての効果も兼ね備えたこの成分は肌に塗ると表面に耐水性の高い皮膜を形成し、化粧崩れを防ぎます。また、後者としては肌と馴染みやすく、肌表面からの水の蒸発を防ぐ植物油等のエモリエント剤、もしくはヒアルロン酸等の保湿成分が用いられています。
眉メイク、どんな点に注意すれば良いの?
このような成分から構成されている眉メイクですが、目元周りに使用する製品であるため、基本的には肌への刺激が強い成分は使用されていません。したがって、健康肌であれば製品の種類を問わず安心して使用することができますが、若干の注意が必要です。
まず、目元周りの製品に共通した注意ですが、開封後は比較的早めに使い切るようにしてください。パウダー関連であれば比較的長持ちしますが、眉マスカラ等の液状のものは雑菌の繁殖が心配されるため、概ね3ヶ月以内の使用が推奨されています。特にパラベンなどの防腐剤フリーの製品を購入した際は、早めに使いきるようにしてください。
また、色の選び方にも少し注意が必要です。冒頭でも紹介しましたが、眉毛は顔の印象を大きく変化させます。染めた黒髪に合わせるのであればカーボンブラック等を主成分にした濃い色の製品でも良いのですが、地毛に少し茶色が入っている場合、明るく染めている場合は必要以上に眉の主張が強くなってしまいます。その場合、酸化鉄や酸化チタンを主成分とした、地毛よりも気持ちだけ明るい製品を選び、使い方で調整する方が良いかもしれません。
「眉」は顔のほんの小さな一部分ですが、全体の印象を大きく変える働きがあります。自分に合ったアイテム選びの一環として「成分」にも目を向けながら探してみてはいかがでしょうか。
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