使用の目的:紫外線吸収剤
類似した成分:メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
エチルヘキシルトリアゾンとは一部の日焼け止め製品に利用されている成分で、化学式C48H66N6O6で表される複素環式化合物(トリアジン誘導体)の一種です。トリスエチルヘキシルオキシカルボニルアニリノトリアジンと呼ばれることもあり、常温では白色もしくは薄黄色の粉末状の固体で、水に溶けにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。工業的には1,3,5-トリアジンを出発原料として合成されます。
特筆すべき性質としては優れた紫外線吸収剤としての性質が挙げられます。構造内にベンゼン環をはじめとした共役二重結合を持った成分は紫外線を吸収する作用がありますが、エチルヘキシルトリアゾンは紫外線の中でも肌の炎症やDNAの損傷といったより深刻な問題を引き起こす、UV-Bを選択的に吸収する作用を持っています。また、その作用は代表的な紫外線吸収剤として知られているメトキシケイ皮酸エチルヘキシルよりも強く、高いUVカット効果を期待することができます。
紫外線吸収剤としては比較的新しい成分ですが、化粧品に配合される範囲では肌への毒性や刺激性もほぼなく、安心、安全に利用可能な成分です。また、一般的な紫外線吸収剤はベタつきが気になるものが多いのですが、エチルヘキシルトリアゾンは比較的使用感が軽く、その面でも優れています。しかし、優れたUV-B吸収作用を示す一方でUV-Aに対しての作用は弱いため他の成分と組み合わせて使う必要があり、また、北米では化粧品成分として承認されていません。
類似した成分としてはメトキシケイ皮酸エチルヘキシルが挙げられます。メトキシケイ皮酸エチルヘキシルはエチルヘキシルトリアゾンと同様にUV-Bの吸収性に優れた紫外線吸収剤で、日焼け止め製品に利用されていますが、物性などが異なっています。化粧品にはいずれも利用されていますが、海外の規制や溶媒との相性の関係で、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルの方がより一般的に用いられています。