「肌に優しい」植物の定番、アロエ
肌に優しい植物と聞いて、貴方はどんなものを思い浮かべますか。天然の植物には長年の進化によって生み出された多様な成分が含まれており、食品や化粧品、あるいは漢方薬などとして、多くの人々に利用されてきました。その中でも有名なものとして、「アロエ」が挙げられます。かつては傷や火傷の手当にも用いられ、今日でもスキンケア化粧品や軟膏の成分として、時にはジュースの果肉分やデザートのトッピングとして、私達の生活にすっかり根付いています。身体に良い植物は往々にして「良薬口に苦し」なのですが、アロエの歯肉は程よい弾力と瑞々しさが特徴で、その食感が好き、という方も少なくないでしょう。
このアロエですが、化粧品にはアロエの葉から水やBGで有効成分を抽出した、「アロエエキス」もしくは「アロエベラ葉エキス」という形で利用されています。両者は同じものを指すこともありますが、区別して用いる場合、前者は観葉植物としても一般的な「キダチアロエ」から抽出したもの、後者はキダチアロエよりも大きく、厚い葉を持った「アロエベラ」から抽出したものを指します。アロエベラは日本ではあまり見かけませんが、沖縄など一部の暑い地域では露地栽培されています。
アロエの肌への嬉しい効果
では、アロエを使った化粧品にはどのような効果があるのでしょうか。代表的なものとしては抗炎症作用が挙げられます。アロエにはアロエチンやアロシンと呼ばれるアントラキノン系成分や消炎鎮痛剤にも含まれるサリチル酸が含まれており、炎症反応を引き起こす物質の生成を阻害したり、皮膚のターンオーバーの周期を正常化したりする働きがあります。そのため、肌につけると紫外線などの外的刺激によるダメージを緩和することができ、日に焼けた肌を優しく労ることができます。また、他の成分との組み合わせでメラニン色素の沈着を防ぐ働きがあることも示唆されており、日焼け後のシミやソバカスの発生を抑える効果も期待できます。
さらに、アロエエキスには保湿効果があることも知られています。アロエの葉の表面を剥がすとべたつきの強い液体が得られますが、保水力に優れたムコ多糖類の一種であるアロエマンナンの他、グルコースやマンノース、アミノ酸など水と馴染みやすい成分を豊富に含んでいるため、肌につけると保水力を補うことができます。この効果はヒアルロン酸などと比較すると控えめではあるものの、紫外線によってダメージを受けた肌を修復する上では大いに助けになります。
「アロエ」と「アロエベラ」は何が違うの?使う上での注意点は?
このように肌に嬉しい効果を持っているアロエ由来の成分ですが、実は化粧品に使う上で大きな欠点を持っています。それは「自由に輸出、輸入できない」といったことです。アロエはとても有用な植物ですが、栽培が難しく需要も多いため、アロエに由来する原料の大半がワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の保護)対象となり、輸出入の際に事前申請が必要となります。この手続きは個人も対象となるため、何も知らずに持ち込むと税関で差し止められ、没収されてしまいます。
しかし、アロエベラは他種のアロエと異なり、安定した栽培が可能であることからこの規制の対象から外れます。そのため、アロエを使った化粧品の大半はこのアロエベラ由来の原料が使用されており、この場合、事前申請不要で国境を超えることが可能です。多くの場合、アロエベラ由来の原料を使った製品にはその旨が記載されていますが、単に「アロエエキス」と記載されていることもあります。その場合、アロエベラ由来である証明を求められることがあります。
ただし、アロエベラにも欠点が存在します。アロエベラには「アロイン」と呼ばれる医薬品成分が特定の部位に含まれており、化粧品に使用する際はその部位ごと取り除くことが義務付けられています。そのため、アロエベラ由来の原料はキダチアロエ由来のものと比較して、利用可能な有効成分が限られます。海外に持ち出す予定がないのであれば、国内で生産されたキダチアロエ由来の原料を使った製品を使ってみても良いでしょう。
「優しく」「美味しい」存在として
このように、色々な制約によってそのメリットを活かしきれないこともあるアロエ由来の成分ですが、私達のスキンケアにとって嬉しい効果を持った成分として利用され、さらなる応用のための研究が進められています。また、アロエは化粧品としてだけではなく、健康や美容に良い食品としてもよく知られており、葉肉を食べることで胃腸を活性化する効果を期待できます。食べ過ぎるとお腹を下してしまうため注意が必要ですが、その瑞々しさは食欲のない夏こそ食べたくなるもので、「健康のため」と思わなくとも無理なく続けることができます。
好みの分かれる匂いや味のクセもなく、安定して栽培できるアロエは美容に嬉しいだけではなく、積極的に「利用したい」と思わせる存在です。効果に関してより研究が進み、他の成分との相互作用が解明されればますます私達の悩みに寄り添うことができる、欠かせないものとなってゆくでしょう。
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