冬のお悩み「手指の乾燥」
貴方は冬の季節はお好きですか。寒かったり、地域によっては大雪で閉ざされてしまったり、何かと大変な季節ですが、コタツに入ってぬくぬくと過ごすのも良し、しっかり着込んでお出かけしたり、ウインタースポーツを楽しむのもまた良しと、この季節ならではの過ごし方を楽しむことができます。食事も旬の味覚は少なめですが、鍋料理や辛い韓国料理など、この時期だからこそ食べたくなるものも多いです。
しかし、肌にとって冬はとても厳しい季節です。冬は空気自体が乾燥しているため肌から水分が失われがちで、特に外気に触れている手については、何もケアしていないとカサつきを感じることが多くなります。このカサつきはとりわけ仕事や家事で水を多く使う方にとっては死活問題で、乾燥がひどくなると赤切れやひび割れ、といった痛々しい症状に悩まさされることもしばしばです。
そんな手の乾燥から私達を守ってくれるアイテムがハンドクリームです。ハンドクリームはややオイリーかつしっとりとした感触のクリームで、肌に塗ると乾燥や水仕事による刺激を防いでくれます。冬の時期になるとドラッグストアには多くの種類が並び、しっとり感を重視したい、水仕事に使いたい、傷つきがちな手を守りたいなど、目的に合わせたものを選ぶことができます。
ハンドクリームの成分①失われた油分を補うためのもの
普段何気なく使っているハンドクリームですが、どのような成分が含まれているのでしょうか。ハンドクリームにとって最も欠かせないものは「失われた皮脂を補う」ための成分です。手指と身体の他の部分の大きな違いとして、水仕事や手洗いによって「油分が失われやすい」ことが挙げられます。特に石油由来の石けんや洗剤を繰り返し使った場合、油分の大半が奪われることによって肌表面の水分が失われ、また、肌のバリア機能も低下します。その結果、乾燥や手荒れ、ひどい場合はひびやあかぎれを引き起こします。
ハンドクリームに含まれるワセリンやシアバターは「皮脂の代わり」としてよく働きます。体温付近で柔らかくなるため手につけて伸ばしやすく、肌表面で皮膜を作ることにより、水分の蒸発を防ぎ、また、皮脂を奪う水分自体をはじく効果も期待できます。これらの成分は皮脂の主成分であるオレイン酸やスクワレンとはやや構造が異なるため、つけた際に若干の重さを感じることもありますが、他の油性成分よりも肌にしっかりと付着するため、長時間安定した効果を期待することができます。
ハンドクリームの成分②肌をしっとりとさせるもの
ハンドクリームには肌自体の保湿能力を高める成分も多く利用されています。代表的な保湿成分であるグリセリンや尿素、ヒアルロン酸やセラミドなどはスキンケア製品だけではなく、ハンドクリームの「保湿、美容成分」としてもお馴染みの存在です。これらの成分の多くは肌の表面に浸透して保水作用を発揮するため、ワセリンやシアバターとの組み合わせでより多くの水分を肌に閉じ込めることが可能です。
また、一部のハンドクリームではより肌内部への浸透性に優れ、医薬品としても利用されている「ヘパリン類似物質」が使用されています。ヘパリン類似物質はそれ自体が優れた保水作用を持つだけではなく、角質内に深く浸透し、肌内部の構造を修復する効果を持っています。粘膜などに対して若干の刺激性があるため、化粧水や美容液ではややマイナーな成分ですが、乾燥や外からの刺激によって荒れやすい手のケアには最適で、ヘパリン類似物質配合を謳った製品が多く販売されています。
ハンドクリームの成分③荒れた肌の修復を助けるもの
油分や保湿成分は手荒れを「防ぐ」上で重要な役割を担いますが、ハンドクリームには荒れてしまった肌を「修復する」成分も配合されています。代表的な成分は先に紹介したヘパリン類似物質、グリチルリチン酸二カリウム及びアラントインが挙げられます。ヘパリン類似物質には血行促進作用があり、肌につけると血行障害による炎症を軽減する効果があります。この作用は比較的穏やかですが、保湿効果と合わせて、冬場の寒さと乾燥で荒れてしまった肌をゆっくりと正常な状態へと近づけます。
一方、グリチルリチン酸二カリウムやアラントインは炎症に対してより速やかに働きかけます。グリチルリチン酸二カリウムは皮膚の炎症反応の原因となるプロスタグランジンE2の産生やアレルギー反応の原因となるヒアルロニダーゼの活性を妨げることにより、肌の炎症を抑える効果が確認されています。また、アラントインは肌の表皮層を構成している細胞の増殖を促すことによってターンオーバーを促進し、傷ついた肌を修復する作用が確認されています。これらの成分はアフターシェーブローション等でもお馴染みで、実際に使って効果を実感した方も少なくないでしょう。
ハンドクリーム、正しく使って手に潤いを!
このように、ハンドクリームには私達の手を冬の乾燥から守ってくれる嬉しい成分が含まれています。男性で普段化粧品にあまり馴染みのない方でも、少し使ってみるだけでその効果を実感できることでしょう。塗るべき最適なタイミングは「手を洗った後」もしくは「水仕事をした後」です。ハンドクリームの油分が石けんや洗剤によって失われた皮脂を補い、他の保湿成分との相乗効果で私達の手を乾燥から守ってくれます。化粧水や乳液を塗ってもある程度の効果は期待できますが、ハンドクリームは「皮脂が落ちてしまう」状況を想定して作られているため、より適切な量の油分を補充することが可能です。
一方、この油分の多さはハンドクリームの注意すべき点でもあります。本来の目的で利用する分には問題ないのですが、時々、その手軽さからハンドクリームをオールインワンジェルやクリームの代わりに使っている、といった話を聞くことがあります。ボディークリームの代わりに使うことはできますが、顔に塗って使うのはべたついて使用感が悪いだけではなく、多量の油分やエタノール、ヘパリン類似物質等がニキビや刺激感の原因となることがあるため、避けた方が良いでしょう。
「綺麗な手は幸運を呼ぶ」と言われることもあり、手は貴方の印象を決める上でとても重要な部分の1つです。貴方の毎日をより幸運で素敵なものにするために、ハンドクリームを毎日のケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。きっと冬の寒く乾燥した毎日が、もう少しだけ幸せに感じられることでしょう。
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