使用の目的:合成ムスクの香り成分
類似した成分:ムスクケトン
エチレンブラシレートとは一部のフレグランス製品に利用されている成分で、化学式C15H26O4で表される大環状ケトンの一種です。常温では無色透明もしくは淡黄色の液体で、水に溶けにくく、エタノールや油に溶けやすい性質を持っています。工業的にはブラシル酸ジメチルをエステル交換反応させ、精製することによって得られます。
特筆すべき性質としては天然のジャコウに似た独特の香りが挙げられます。使用が禁止されている天然のジャコウを再現した香り成分は多く存在しますが、エチレンブラシレートは香りの再現性こそニトロケトンにやや劣るものの、一般的な溶媒に溶けやすく、香りの持続性に優れていることが特徴です。
一般的に利用される濃度では肌に対する毒性や刺激性も低く、また、合成ムスクの中でも生分解性にも比較的優れているため、人体にとっても自然環境にとっても安心、安全に利用することが可能です。しかし、ムスク特有のパウダリーな香りを上手く表現できないため、ジャコウ本来の匂いを知っていると違和感を覚える可能性があります(ただし、天然ムスク自体の流通量が極めて少ないため、この点はデメリットにならないかもしれません)
類似した成分としてはムスクケトンが挙げられます。ムスクケトンはエチレンブラシレートと同様に天然ムスクの香りを再現した成分で、ニトロムスクに分類されますが、エチレンブラシレートと比較して香りの再現性に優れています。しかし、生分解性が低く生態系への影響が示唆されているため、今日ではエチレンブラシレート等、より環境負荷の少ない成分へと置き換えられています。
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