パーム油

成分

使用目的:化粧品の使用感の調整、界面活性剤製造のための原料

類似した成分:ヤシ油

 パーム油は様々な化粧品の原料、もしくは界面活性剤等の成分を作るための原料として用いられている成分で、脂肪酸を主成分としています。常温では淡黄色~赤色の油脂状の固体ですが、温めると比較的容易に液体となります。パーム油は熱帯地方を原産地とするアブラヤシの実から搾り取ることによって得られますが、実から得られるものを狭い意味でのパーム油、種子から得られるものをパーム核油と呼びます。

 パーム核油はラウリン酸を主成分としていますが、ラウリン酸をラウリルアルコールに還元し、硫酸エステル化した上で水酸化ナトリウムと反応させると代表的な「石油系界面活性剤」であるラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウムを合成できます。また、そのまま配合した場合は油性成分であること、常温よりやや高い温度で液化することから、化粧品の使用感を調整する目的でも使用されます。

 パーム油は天然由来で肌への刺激性も少なく、安心、安全に使用可能な成分です。また、成分としての生産性にも優れており、アブラヤシは他の天然原料と比較して生産性が高いだけではなく、界面活性剤の原料として、石油よりも効率的な合成が可能です。しかし、パーム油の原産地である熱帯地方で、パーム油栽培の為の土地開発が環境破壊の原因となっており、持続可能な開発の在り方が問われています。

 類似した成分としてはヤシ油が挙げられます。ヤシ油はココナッツオイルとも呼ばれ、パーム核油と同様に、ラウリン酸を主成分とした油脂です。ココヤシはアブラヤシと比較して油分の生産性に劣っており、刺激性のある炭素数の少ない脂肪酸が含まれているといった欠点がありますが、栽培方法の違いからより環境負荷の少ない成分として利用されています。

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