使用目的:洗顔石鹼、ボディーソープ等の洗浄成分
類似した成分:ミリスチン酸、ステアリン酸
パルミチン酸とは主に洗顔石鹸やボディーソープ等に含まれている成分で、化学式C16H32O2で表される高級脂肪酸の一種です。常温では白色の固体結晶で、水に溶けず油性成分との馴染みが良い成分です。人の体内でも合成される物質で、体内に含まれる脂肪酸の中で最大の割合を占めていますが、工業的には主にパーム油から抽出する形で得られます。
パルミチン酸は化粧品の分野では主に石鹸を合成するための原料として用いられます。パルミチン酸は他の脂肪酸と同様に、水酸化ナトリウム(固形石鹼として使用する場合)、水酸化カリウム(液体石鹸として使用する場合)と反応させることによってセッケン(化学的には片仮名で表記します)となりますが、パルミチン酸を原料として使用した石鹸は泡立ちの細かさや肌の不要な皮脂を選択的に落とす作用に優れています。また、油性成分の中では比較的さっぱりとした使用感を持っているとから、使用感を向上させるため、あるいは感触に優れた乳化剤として使用されることもあります。
パルミチン酸は化粧品として使用する上での安全性に大変優れています。脂肪酸の中では分子量が十分に大きく、炭化水素の鎖部分が長いため、肌に対する作用は極めて穏やかです。元々体内にも豊富に含まれ合成されている成分でもあるため、安心して使用することが可能です。しかし、セッケンとして使用した場合、冷水では十分に泡立たず、また、洗浄力を十分に発揮できないことがネックです。
類似した成分としては同様に脂肪酸に分類されるミリスチン酸やステアリン酸が挙げられます。いずれもナトリウムセッケンやカリウムセッケンの原料として用いられますが、分子量がより小さなミリスチン酸は油分を取り除く作用に優れる一方、より大きなステアリン酸の洗浄作用はより穏やかになり、他の成分と併用し、肌を保護する目的でも使用されることがあります。
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