使用目的:シャンプー、ボディーソープ等の洗浄成分
類似した成分:ラウリン酸、パルミチン酸
ミリスチン酸とは主にシャンプーやボディーソープ、ヘアカラー等に含まれている成分で、化学式C14H28O2で表される高級脂肪酸の一種です。常温では白色の結晶で、水に溶けずエタノール等に良く溶けます。天然にも豊富に存在する成分で、工業的にはヤシ油やパーム油より得られます。
ミリスチン酸は化粧品の分野では主に石鹼を合成するための原料として用いられます。ミリスチン酸は他の脂肪酸と同様に、水酸化ナトリウム(固形石鹼として使用する場合)、水酸化カリウム(液体石鹸として使用する場合)と反応させることによってセッケン(化学的には片仮名で表記します)となりますが、ミリスチン酸を原料として使用した石鹸は汚れを洗い落とす作用、泡立ち共に大変優れています。また、亜鉛塩と反応させることによって高い増粘作用を発揮するため、油性化粧品の粘度を調整するためにも使用されます。
ミスチリン酸は化粧品として使用する上での安全性に優れています。分子量が比較的小さな脂肪酸は肌に対する刺激性、毒性があるものがありますが、ミスチリン酸は脂肪酸の炭化水素部分が長いため、肌に対する作用は極めて穏やかです。しかし、セッケンとして使用した場合、洗浄作用や泡立ちが優れているが故に肌にとって必要な油分まで洗い流してしまうことがあるため、若干の注意が必要です。
類似した成分としては同様に脂肪酸に分類されるラウリン酸やパルミチン酸が挙げられます。いずれもナトリウムセッケンやカリウムセッケンの原料として用いられますが、分子量がミスチリン酸より小さなラウリン酸はより洗浄作用が強くなり、より大きなパルミチン酸の洗浄作用は穏やかになります。近年ではより洗浄力が穏やかなものが好まれる傾向がありますが、製品の性格に合わせて選択されています。
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