制汗剤ってどんな効果があるの?どう使えばいいの?

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夏に便利なアイテム、制汗剤

夏の暑い日、エアコンがよく効いた部屋を出ると、何もしていなくても汗ばんできてしまう、少しでも動くと汗が流れ出てきて、折角のメイクや日焼け止めが崩れないか心配になる、洋服が汗で濡れてしまう、そんな経験をした方は多いことでしょう。身体は暑さを感じると体温を調整するために汗を出し、汗が蒸発する際に熱を奪う作用を利用し、身体を冷やそうとします。また、この働きは運動等によってより活発になり、特に有酸素運動を行うと身体の新陳代謝が促され、より積極的に汗を出そうとするようになります。水分補給の観点からは注意が必要ですが、運動して汗を流した後のビールが最高、という方もいらっしゃることでしょう(アルコールは利尿作用があるため、必ず水分は別に取るようにして下さい)。

身体にとって本来必要な汗をかくといった仕組みですが、社会生活を送る上では少し煩わしい部分もあります。大事な商談やデートの際に、大事な洋服を着て外出した時に、あるいはスポーツの最中であっても、必要以上に汗をかくのは避けたいものです。また、汗はシミや臭いの原因にもなるため、エチケットとしてなるべく抑えたいものです。そんな時に便利なアイテムが制汗剤です。お使いの方も多いかもしれませんが、制汗剤を使うことによって発汗作用を抑えたり、汗の臭いを抑えたりすることが可能になります。

制汗剤の効果①汗の量を抑える

夏に欠かせないアイテムである制汗剤ですが、最も期待されていることは発汗作用を抑える効果です。特にスプレータイプの制汗剤を使った時、ひんやりとした感触を覚えることがあるかと思います。スプレータイプの制汗剤にはしばしばエタノールメントール等が含まれており、エタノールが蒸発することによって、もしくはメントールが肌を刺激することによって冷たい感触を生み出します。肌は冷たさを感じると毛穴を引き締めようとするため、結果として汗の量を抑えることが可能です。この効果は制汗剤をよく使う夏の時期には重宝しますが、効果が弱くあまり持続しないため、より強い効果を持った成分が取り入れられています。

毛穴に直接働きかけることによって汗の量を抑える成分としては、クロルヒドロキシアルミニウムや酸化亜鉛、ミョウバン等がよく用いられています。エタノールやメントールが毛穴を引き締める作用を促すのに対して、これらの成分は毛穴の表面で汗やタンパク質と反応して被膜を形成し、汗の出口を直接塞ぐことによって発汗そのものを抑制します。この作用は比較的強く、特にミョウバンを使用した場合、毛穴の比較的奥で作用してはがれにくい被膜を形成するため、効果が長く持続します。

制汗剤の効果②臭いの原因を抑える

制汗剤に期待される効果としてもう1つ挙げられるのが汗の臭いを抑える作用です。汗の臭いを抑える作用は大きく2種類に分類され、殺菌作用によって雑菌の繁殖を抑え、悪臭の原因となる化学反応が起こることを防ぐもの、悪臭を発する物質を吸着、分解することによって臭いを抑えるものが挙げられます。制汗スプレーの中には臭いを他の匂いによって打ち消すものもありますが、狭義の「制汗剤」ではないため、今回の記事では割愛します。

殺菌作用によって皮膚の雑菌の繁殖を抑える成分としてはミョウバンやイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム等が挙げられます。また、一時期は銀イオンが注目されていましたが、最近肌への影響が懸念されたため、やや使用が抑えられています。イソプロピルメチルフェノールや塩化ベンザルコニウムは刺激性がなく殺菌効果の高い成分として広く用いられており、制汗剤として使用すると肌の常在菌を殺菌し、汗によって分泌された成分が悪臭を放つ成分へと変化するのを防ぐことが可能です。

 また、悪臭を発する物質を吸着、分解することによって臭いを抑える成分としてはミョウバンや緑茶、柿渋由来のカテキン等が用いられています。ミョウバンは皮膚で発生し、悪臭の原因となる物質を中和、分解する作用を持っており、特にアンモニアについて優れた分解特性を持っています。一方、カテキンはポリフェノールの一種で吸着力に優れており、臭いの原因となる物質を吸着し、臭いを抑えることが可能です。

制汗剤はどうやって使ったらいいの?使い続けても大丈夫?

 夏場の汗や臭いの悩みを解決してくれる制汗剤ですが、どのように使えば良いのでしょうか。また、ずっと使い続けても大丈夫なのでしょうか。基本的には製品に書かれている使用方法を守って使う分には大きな問題はないのですが、その効果が強すぎるが故、使い続ける際には若干の注意が必要です。

化粧品は基本的に肌が元々持っている機能をサポートすることが主なのですが、特にクロルヒドロキシアルミニウムやミョウバン等を用いた制汗剤は肌に直接作用することによって、肌の働きを逆に止めてしまいます。脇の下や足といった体温調節に関係ない部分に使い続けるのは良いのですが、全身に使った場合、汗をかくことによる体温の調節機能自体を妨げてしまうため、一部の使用にとどめた方が良いでしょう。

また、殺菌作用の強いものについても同様に効果が強く、肌の常在菌を取り除いてしまうため、使い方によっては臭いの原因となる細菌をより繁殖させてしまう、皮膚が炎症を起こしてしまうといったリスクがあります。エチケットの観点からは大変便利なアイテムですが、自身の肌や臭いの状態に気を配りつつ、気になる部分に適量を使用することが適切です。

汗のケアに関しては制汗剤に頼り過ぎないことも大切です。特に臭いのケアに関しては基本的ですが、汗をかいたら拭き取るといった方法が効果的です。また、適切に有酸素運動を取り入れることによって代謝を整え、汗への臭いの原因となる成分の分泌を抑えることが可能です。臭いの原因となる成分の分泌はストレスも引き金になるため、ストレス解消にもなる有酸素運動はその意味でも効果的です。

日本の暑い夏、汗がとても気になる季節ではありますが、制汗剤や他の方法を上手く取り入れることによって、より快適に過ごすことができます。何気なく使っている方も多いとは思いますが、自身の汗のケア方法をもう一度見直してみるのもいかがでしょうか。

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