尿素

成分

使用目的:肌の保湿及び古い角質の軟化

類似した物質:グリセリン

 尿素とはスキンケア、ヘアケア化粧品を中心として広く使用されている成分で、組成式CH4N2Oで表わされる有機化合物です。一般的には尿素と呼ばれていますが、カルバミドと呼ばれることもあります。肌の角質層に存在する天然保湿因子の1つで、肌の保湿で重要な役割を担っています。体内の代謝の過程でも合成される成分ですが、工業的にはアンモニアと二酸化炭素を反応させ、それを分解することによって得ることができます。常温では無色もしくは白色の結晶として取り出すことが可能です。

 特筆すべき性質としてはその保湿作用が挙げられます。単体の成分として着目した場合の保湿作用についてはヒアルロン酸やコラーゲン等の分子の大きな物質、あるいはより多く用いられているグリセリンに及びませんが、尿素は肌の角質層を柔らかくすることにより、あるいはそれ自身が持つ保水作用によって肌を保湿する働きがあります。同じく角質を柔らかくする作用を持っているグリセリンのように周囲の水分を奪うこともないため、マイルドな保湿成分として使用されます。また、尿素の角質を柔らかくする作用はスキンケア化粧品以外の領域でも利用されており、ヘアカラー剤等では色成分を浸透させるための成分として使用され、医療向けの軟膏などにも使用されています。

 元々生体内に含まれている物質であり、作用も穏やかであるため安全に使用することが出来る成分で、単体の原料としても販売がされていますが、10%以上の濃度で使用すると肌の角質を溶かす作用がありやや刺激性が強くなるため、化粧水等を手作りする際はやや注意が必要です。

 類似した成分としてはグリセリンが挙げられます。単純な保湿効果においてはグリセリンが優れており、また、独特のとろみのあるテクスチャがスキンケア化粧品の製品化において好都合なためより多く利用されていますが、角質を柔らかくする作用については尿素がより好んで選択されています。

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