使用の目的:ニキビ予防、シワの防止
類似した成分:レチノール、パルミチン酸レチノール
酢酸レチノールとはスキンケア製品を中心に利用されている成分で、化学式C22H32O2で表されるビタミンA誘導体の一種です。広義の「レチノール」配合化粧品に使用されている成分の1つで、常温では薄黄色〜黃赤色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、エタノール等と馴染みやすい性質を持っています。工業的にはレチノールと酢酸を反応させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としては優れた肌のターンオーバー促進作用が挙げられます。レチノールやその他のビタミンA誘導体が含まれた医薬品や化粧品を肌につけると細胞の成長や増殖を促進することが知られており、ビタミンA誘導体の一種である酢酸レチノールに関しても同様の効果が期待できます。
酢酸レチノールはレチノールエステルの中では比較的分解されやすい成分で、皮膚の受容体に作用するレチノイン酸を生成しやすい性質があります。そのため、広義のレチノールの中では比較的強い効果を期待することができます。しかし、構造がやや不安定であること、また、その作用が強い分、肌荒れを引き起こすレチノイド反応が起こりやすいことから、化粧品への配合は実績のある分野に制限されており、その量についても規制されています。
類似した成分としてはパルミチン酸レチノールが挙げられます。パルミチン酸レチノールは酢酸レチノールと同様にビタミンA誘導体の一種で、酢酸レチノールと同様の作用を持っていますが、よりその作用が穏やかで、成分としての安定性が高いことが特徴です。化粧品にはいずれの成分も用いられますが、肌への刺激性や規制等の観点から、パルミチン酸レチノールの方がより一般的に利用されています。