肌をしっとり滑らかに、「エモリエント」とはどんな成分なの?

肌を滑らかに、柔らかくする保湿成分?

 肌が乾燥しがちな秋から冬の時期、どれだけ保湿ケアをきちんとしていても、肌がカサついたり、化粧ノリが悪かったり、といった症状に悩まされがちです。肌が強ばったように感じられ、化粧水が上手く染み込まなかったり、ファンデーションが思うように延びなかったりして、肌に悪いと知りつつも、擦り付けるようにして使っている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。ヒアルロンにコラーゲン、ヘパリン類似物質など評判の保湿成分を色々試してもみても、何か物足りなさを感じてしまいます。

 そんな悩みに寄り添う成分が何かないだろうかと探していると、「エモリエント」というキーワードを見かけることがあります。エモリエントは多くの化粧品に利用され、肌の滑りを良くしたり、柔らかくしたりする効果、あるいは保湿作用がある成分とされており、代表的なものとしてワセリンやミネラルオイル、植物油などが紹介されています。しかし、このエモリエントといった成分、専門的なサイトでは解説されているものの、個別の製品では他の保湿や抗酸化作用が期待できる成分のように、詳しくは触れられていない印象です。一体、どんな成分で、どういった作用が期待できるのでしょうか。

エモリエント=足りない皮脂を補う成分

 化粧水や乳液など、男女を問わずスキンケアに利用されている製品は一般的に肌の角質層にアプローチするものが多く、保水力に優れた成分を浸透させて元々の保湿力を補ったり、メラニン色素の生成、沈着によるシミの発生を防いだり、といった効果が期待できますが、エモリエントは角質層のさらに外側に存在する「皮脂」を補うことにより、その効果を発揮します。

 皮脂、と聞くとベタつきやニキビなどの悪いイメージを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、肌を守る上で非常に重要な役割を果たしています。皮脂の主成分はトリグリセリド(グリセリンの脂肪酸エステル)や遊離脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸)、スクワレンですが、いずれも肌とよく馴染み、表面からの水分蒸発による乾燥を防いだり、肌をアレルゲンや細菌の侵入から守ったりする役割を担っています。また、皮脂があることで肌表面の滑りが良くなり、スキンケアやメイクをする際、摩擦による肌へのダメージを防ぐことができます。

 エモリエントが含まれた製品を肌につけるとまるで皮脂のように肌に密着し、皮脂と同じような作用を発揮することによって、肌の乾燥を防いだり、表面の滑りを良くしたりすることができます。その個性は成分の種類によってかなり異なっており、オレイン酸やスクワランのようにほぼ皮脂の代わりとして作用するもの、ワセリンのように密着性や水分蒸発を防ぐ力に優れているもの、パルミチン酸エチルヘキシルのように皮脂よりも軽く、滑りが良いものなど様々です。

「顔料の肌馴染みを良くする」使い方

 このように、エモリエントを肌につけることで、皮脂が担っている水分蒸発の防止や、バリア機能などの役割を補うことができますが、化粧品自体の使用感を良くする目的でも利用されています。一例を挙げると、プレストパウダーやパウダーファンデーションは肌に着色するための顔料や化粧品を形作るための体質顔料と呼ばれる成分を主成分としていますが、酸化チタンや酸化鉄といった金属酸化物、タルクやマイカといった粘土鉱物は肌とほとんど馴染まず、思うように延ばすこともできません。

 そこで利用されるのがエモリエントです。ファンデーションや口紅は様々な種類のエモリエントが利用されていますが、顔料にエモリエントを混ぜることで顔料を皮脂とより馴染みやすく、延ばしやすくすることができます。また、シアバターやカカオバターといった体温付近で融ける成分をエモリエントとして加えると「人肌でとろける」独特な使用感を生み出すことができるため、口紅やボディークリーム等を中心に利用されています。また、エモリエントは日焼け止め製品にも多く利用されており、加えることで多少ベタつきは強くなるものの、紫外線吸収剤や散乱剤を均一に肌に延ばしたり、肌なじみを良くしたりすることができます。

エモリエント、どうやって使えばいいの?使い分けは必要?

 このように、エモリエントは私達の肌に不足した皮脂を補うことによって水分量の減少を防いだり、メイクの肌馴染みを良くしたりすることができる成分です。あまり取り上げられることは多くないのですが、多くの製品に当たり前のように使用されており、私達は日々、その恩恵を受けています。エモリエントのことを意識せずに化粧品を選んでも良いのですが、油の特徴を知っておくことで、望まないトラブルを避けることができます。

 エモリエントの代表的な成分は石油由来のワセリンやミネラルオイルで、これらは肌の上でよく延び、また、肌に密着するため水分の蒸発をよく防ぎます。また、これらの油分は植物油よりも不純物が少なく、酸化されにくいため、肌にトラブルを抱えていても安心して利用することができます。しかし、肌への密着性が高すぎるため、皮脂が多くなりがちな時期に使用すると毛穴詰まりによるニキビなどの原因となります。そのため、暑い夏場には向いておらず、冬場を中心とした利用がお勧めです。

 一方、植物油由来のエモリエントの代表的なものとしてはオレイン酸やパルミチン酸を主成分とした植物油が挙げられます。これらは肌との馴染みがとても良く、つけ心地も比較的軽めです。これらの成分は比較的酸化されやすく、ワセリンやミネラルオイルよりも保存には注意が必要ですが、肌への密着性や保湿作用が「皮脂と似ている」ため、夏場でもベタつきに悩まされにくいでしょう。

 「保湿」が大事なことは多くの方がご存知かと思いますが、「エモリエント」の効果についてはあまり注目されることがなく、見逃されがちです。乾燥しがちなこれからの季節、貴方のお気に入りのものを探してみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました