自宅で手軽にピーリング、「AHA」とはどんな成分なの?「BHA」「PHA」との違いは?

セルフピーリングの主成分「AHA」

 毎日の洗顔にスキンケア、美容成分入りのファンデーション、健康的な食生活、どんなに肌に気を遣っているつもりでも、私達の肌は何らかのトラブルを抱えがちです。特に乾燥しがちな秋から冬の季節にかけては、ターンオーバーの乱れによって古い角質が剥がれ落ちずに肌にとどまり、角栓やニキビの原因となったり、ザラつきを感じたり、何となくくすんでしまったり、といった現象に悩まされがちです。

 そのような時に効果的なのが、美容皮膚科などで行われている「ケミカルピーリング」です。ケミカルピーリングは特殊な薬品を肌につけることで古い角質を剥がしたり、皮脂を溶かしたりすることによってその状態を改善することを目的としており、日本で主流のサリチル酸マクロゴールなどを用いた施術では、安全性も比較的高いことで知られています。しかし、その費用はやや高めで、「痛い」といった口コミも目立つため、抵抗のある方もいらっしゃることでしょう。

 そこで、より手軽な存在として登場したものが「AHA」を用いたセルフピーリングです。AHAはアルファヒドロキシ酸(Alpha Hidroxy Axids)の略で、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸といった成分の総称ですが、美容皮膚科でのピーリングで用いられるサリチル酸やトリクロロ酢酸よりも安全に使用できることから、化粧品向けの「穏やかな」ピーリング剤として用いられています。一体、AHAはどのような作用で古くなった角質を剥がし、私達の肌を整えてくれるのでしょうか。

「AHA」が角質を剥がすメカニズムとは?

 肌の角質層にはコルネオサイトと呼ばれる細胞が多く存在していますが、細胞間にはコルネオデスモソームと呼ばれる結合、接着構造が形成されています。この構造は肌のターンオーバーによって細胞が角質の上層に押し上げられるにしたがって酵素によって徐々に分解され、最後には剥がれ落ちますが、ターンオーバーが乱れた状態ではこのメカニズムが働かずに表面に堆積し、様々な肌トラブルを引き起こします。

 このような状態の肌に効果を発揮する成分がAHAで、古くなった細胞間のコルネオデスモソームに作用することによってその結合力を弱め、剥がれ落としやすくすることができます。古い角質が剥がれた肌はザラつきやくすみが解消されるだけではなく、角質が薄くなることによって化粧水や美容液の有効成分がより効率的に浸透するようになったり、化粧ノリが良くなったりします。「ピーリング剤」と聞くとタンパク質や皮脂を溶かすイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、AHAはあくまでもコルネオデスモソームに選択的に作用するため、そのような効果を期待する場合は他の成分が利用されます。

 AHAの中で最もピーリング剤として有名な成分はグリコール酸です。C2H4O3で表されるこの成分はAHAの中でも分子量が最も小さいため浸透性に優れ、古い角質を効率的に剥がすだけではなく、コラーゲンの産生を助けたり、シミ、くすみを改善したりする効果も知られています。また、より分子の大きな乳酸やリンゴ酸、クエン酸は肌への浸透性がやや低く、角質の剥離作用は穏やかであるものの、酸性を活かした毛穴の引き締めや保湿といった効果が期待でき、ピーリングを行いながら肌のコンディションを整えることができます。

「AHA」と「BHA」、「PHA」の違いは? 

 このように、AHAは古い細胞間の結合を緩めることで角質を剥がす働きがありますが、ピーリングには他に「BHA」「PHA」と呼ばれる成分も利用されています。BHAの代表的な成分としてはサリチル酸が挙げられ、AHAと同様にヒドロキシ酸由来の「角質を剥がす」作用を持っていますが、基本的には水溶性のAHAとは異なり油に溶けやすい性質を持っているため、肌につけると角質を剥がすだけではなく、毛穴に詰まった皮脂を溶かして取り除きます。この作用は強力で高い効果が期待できますが、かなり肌への刺激が強いため、市販の化粧品向けのピーリング剤としては利用されていません。(微量のサリチル酸が化粧品に配合されていることもありますが、その役割は防腐剤です)

 また、PHAの代表的な成分としてはグルコノラクトン、ラクトビオン酸が挙げられます。これらの成分はAHAと同様に水に溶けやすく、角質を剥がす作用を持っていますが、分子量がより大きいためAHAと比較してよりゆっくりと表面にのみ浸透し、また、多くの親水基を持っているため保湿効果に優れています。最近、PHAを配合したアイテムが韓国コスメ等を中心に「水光ピーリング」の愛称で販売され、注目されています。

AHAを使ったセルフピーリング、どうやって取り入れればいいの?

 このように、BHAよりも使いやすく、PHAよりも浸透性に優れているAHAですが、どのように日々のスキンケアに取り入れていけば良いのでしょうか。まず、覚えておくべきこととして、グリコール酸等のAHAは「BHAよりも低刺激」ではあるものの、角質を剥がす、といった肌に積極的に働きかけるタイプの成分であるため、使用時の肌への刺激はかなり強い部類に入ります。基本的には週に1〜2回、もしくは夜間のみの使用がお勧めで、使用後は肌が外的刺激に弱くなっているため、日焼け止め等のケアは欠かせません。また、毎日使えるタイプの製品であっても、当初は週2〜3回の使用から始めた方が無難です。もし肌に刺激を感じるようであれば使用の頻度を減らしたり、より濃度の低い製品を試してみたりすると良いでしょう。

 しかし、注意深く使用すればAHAが含まれた化粧品は肌様々な悩みにしっかりと寄り添ってくれる存在となります。不要な角質を削り取ることで肌表面のカサつきやくすみを改善し、化粧水や美容液の浸透性を高め、成分によっては肌のターンオーバーを改善したり、コラーゲンの産生を促したりする効果も期待できます。また、皮脂のトラブルについては同時使用こそお勧めできませんが、パパインを使った酵素洗顔など、別なアイテムで改善することができます。もし興味をお持ちであれば、比較的マイルドなものから試してみてはいかがでしょうか。

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