使用の目的:シミ・ソバカスの予防(美白)、抗炎症作用
類似した成分:アルブチン、コウジ酸、ハイドロキノン、ビタミンC、グルタチオン
トラネキサム酸とは化粧水などのスキンケア製品を中心に利用されている成分で、化学式C8H15O2で表されるアミノ酸の一種です。医薬品としてはトランサミンと呼ばれることもあり、常温では白色の結晶状の物質で、水に溶けやすく、エタノールや油分に溶けにくい性質を持っています。工業的には必須アミノ酸の一部であるリシンを原料として合成したものが利用されています。
特筆すべき性質としては優れたシミ・ソバカスの予防効果が挙げられます。トラネキサム酸が含まれた化粧品を肌につけると肌に作用し、メラニン色素の合成を活性化させる成分であるプラスミンの作用を妨げることによってその効果を発揮します。また、プラスミンはアレルギー反応を引き起こす原因ともなるため、その作用を妨げることによって、肌の炎症を抑える効果も期待できます。
医薬品としてもお馴染みで、美白よりはむしろ抗炎症作用を目的として取り入れられた成分であるため、肌への刺激性や毒性もなく、安心、安全に利用可能な成分です。また、トラネキサム酸の持つ抗炎症作用により、肌の赤みを改善する効果も期待できます。しかし、いわゆる「美白」に関わる成分としては作用が間接的なものにとどまるため、他の強力な成分と比較するとその効果は穏やかです。
類似した成分としてはアルブチンが挙げられます。アルブチンはトラネキサム酸と同様に肌のシミやソバカスの予防効果を目的として化粧品に配合されますが、その作用が異なっておりメラニン色素の合成を直接的に阻害するため、若干肌への刺激はあるものの、トラネキサム酸より強い効果が期待できます。化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分けがされていますが、併用し、相乗効果を期待したものも販売されています。