使用の目的:抗酸化作用
類似した成分:トラネキサム酸、ハイドロキノン、ビタミンC、マドンナリリー根エキス
グルタチオンとは一部のスキンケア製品に利用されている成分で、化学式C10H17N3O6Sで表されるペプチドの一種です。美容医療の分野では「白玉点滴」の主成分としてよく知られており、常温では白色の特異臭のする粉末状の物質で、水に溶けやすく、エタノールや油分と馴染みにくい性質を持っています。工業的には酵母を用いて発酵させることによって合成可能です。
特筆すべき性質としては優れた抗酸化作用が挙げられます。グルタチオンは構造中にチオール基を持っており、この部分が強力な還元性を持っているため、使用すると紫外線などによって発生した活性酸素を除去、あるいはメラニン色素の生成を助ける酵素チロシナーゼの活性を阻害し、肌のシミやくすみを防ぐ効果が期待できます。また、酸化されて失活したビタミンCなどを還元して再活性化させる作用もあるため、他の成分との組み合わせでより優れた効果を発揮します。
人の体内で合成される成分で、化粧品に配合される範囲では肌への刺激性や毒性も少ないため、安心、安全に利用可能です。また、高濃度のグルタチオンを「白玉点滴」として直接体内に取り入れる美容医療もありますが、安全性が高いものとして広く利用されています。しかし、化粧品として肌につけた場合の効果は十分に立証されておらず、また、チオール基に由来する「タマネギのような臭い」があるため、高濃度で配合するととても不快な使用感になります。
類似した成分としてはトラネキサム酸が挙げられます。トラネキサム酸はグルタチオンと同様に化粧品にシミやくすみの予防を目的に配合されますが、抗酸化作用よりはむしろプラスミンと呼ばれる「メラニン色素の合成を活性化させる成分」の作用を妨げることによってその効果を発揮します。化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分けがされますが、医薬部外品の部外成分であるトラネキサム酸の方がより一般的に利用されています。