使用の目的:増粘、パウダー製品の飛散防止
類似した成分:ステアリン酸亜鉛、ステアラルコニウムヘクトライト
ステアリン酸アルミニウムとは一部の日焼け止めやパウダー製品に利用されている成分で、化学式C36H72AlO5で表されるステアリン酸の金属塩の一種です。ジステアリン酸アルミニウムと呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の物質で、水にも油にも溶けにくい性質を持っています。工業的にはステアリン酸ナトリウムとアルミニウム塩を反応させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としては特徴的な増粘作用が挙げられます。ステアリン酸ナトリウムは常温では水にも油にも馴染みにくい物質ですが、加熱することによってゲル状になって油に溶解し、製品の粘度を上げる効果があります。また、パウダー製品のケーキング(表面が固まってしまう現象)を防ぐ目的でも利用されています。
天然由来の成分で、肌への刺激性や毒性もほぼないため、安心、安全に利用可能です。また、ゲル化による増粘作用はアルミニウム塩に特徴的なものです。しかし、水にも油にも溶けにくいこと、また、油性の増粘剤やケーキング防止剤には他にも様々な種類があることから、他のより利便性に優れた成分が好んで利用されることが多いです。
類似した成分としてはステアリン酸マグネシウムが挙げられます。ステアリン酸マグネシウムはステアリン酸アルミニウムと同様にステアリン酸の金属塩で、パウダー製品のケーキング防止などにも用いられますが、ステアリン酸アルミニウムが製品を増粘させるのに対して、ステアリン酸マグネシウムは製品をより滑らかにします。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされますが、汎用性が高いステアリン酸マグネシウムの方がより一般的に用いられています。