ブチルパラベン

成分

使用の目的:防腐剤

類似した成分:プロピルパラベン

 ブチルパラベンとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C11H14O3で表されるパラオキシ安息香酸エステルの一種です。パラオキシ安息香酸ブチル、あるいは他の種類のものと合わせてパラベンと呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の物質で、水にほとんど溶けず、エタノールやエーテルに溶けやすい性質を持っています。工業的にはパラオキシ安息香酸とブタノールを反応させることによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては防腐剤、抗菌剤としての作用が挙げられます。エチルパラベンは化粧品において最も懸念される(皮膚や空気中に存在するものが入ってしまう)ブドウ球菌等のグラム陽性菌やカビを殺菌し、繁殖を抑える効果に優れています。その効果は代表的な「パラベン」であるメチルパラベンよりも大幅に優れており、性能の指標の1つである最小発育阻止濃度では1/10程度を示します。

 油と馴染みやすく、一般的な防腐剤としては比較的安全な部類に入るため、安心して利用できる成分です。また、皮膚に吸収される性質がありますが、吸収後は分解され排泄されるため、身体に残留してしまう心配もありません。しかし、比較的刺激性が強く、また、水にもほとんど溶けないため、通常はメチルパラベンやエチルパラベン、フェノキシエタノールなどのより一般的な防腐剤の作用を補強する目的で利用されます。

 類似した成分としてはプロピルパラベンが挙げられます。プロピルパラベンはブチルパラベンのブチル基の部分がプロピル基に置き換わった構造を持っており、同様に防腐剤として用いられていますが、ブチルパラベンには及ばないものの十分な抗菌作用を持っています。また、水に若干溶けやすく低刺激であるため、化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされています。

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