過酸化ベンゾイル

成分

使用の目的:ニキビ予防

類似した成分:サリチル酸、レチノイン酸

 過酸化ベンゾイルとは一部の海外のスキンケア化粧品に利用されている成分で、化学式C14H10O4で表される安息香酸誘導体の一種です。過酸化ジベンゾイルと呼ばれることもあり、常温では白色の固体で、水やエタノールにほとんど馴染まず、有機溶剤に馴染みやすい性質を持っています。工業的には塩化ベンゾイルと過酸化ナトリウムを反応させることによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては優れたニキビ予防効果が挙げられます。塩化ベンゾイルは強力な酸化剤として知られており、肌につけると活性酸素を発生させ、アクネ菌などのニキビの原因となる菌の増殖を抑制、あるいは死滅させる働きがあります。また、肌の角質を軟化させ、ターンオーバーを促進する作用もあるため、ニキビによって荒れてしまった肌を改善する効果も期待できます。

 米国ではニキビ治療の目的で古くから使用されており、日本でも医薬品としては認可された成分であるため、通常の化粧品成分よりも高い効果を期待することができます。また、過酸化ベンゾイルの抗菌作用は通常の抗菌剤とは異なるため、耐性菌を心配することなく利用することができます。しかし、肌に対する刺激がやや強く、乾燥も引き起こしてしまうことから、日本では化粧品目的での配合が認められていません。

 類似した成分としてはサリチル酸が挙げられます。サリチル酸は過酸化ベンゾイルと同様に安息香酸の誘導体で、ニキビ予防や肌のターンオーバー促進の目的で化粧品に用いられますが、化粧品成分としての配合が認められている分、その効果はやや穏やかです。そのため、海外ブランドで日本向けに販売されている「ニキビ予防」の製品は過酸化ベンゾイルの代わりにサリチル酸、もしくは他のより穏やかな作用を持った成分に置き換えられています。

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