化粧品の温泉成分と美肌の関係

肌荒れ

温泉と美肌の関係

  家族や恋人、気の合う仲間とのんびり楽しむために、仕事続きで疲れた自分へのご褒美に、目的は人それぞれかもしれませんが、温泉地を訪れて過ごすひと時は、多くの人にとって心休まる時間です。美味しい食事やお酒、周りの観光などを満喫してもよし、ひたすらのんびりと、本を読んだり寝たりして過ごしても良いのですが、やはり主役は温泉です。温泉にゆっくりと浸かることによって体を温め、心身共にリラックスすることができます。

 温泉はまた、肌にとっても良い効果を及ぼします。湯上りに肌がとてもすべすべとしている、乾燥肌だったのに、しばらくしっとりが続いていい感じ、そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。実際に、温泉水は成分に応じた効能を持っており、肌の不要な角質を落とす、表面を殺菌する、保湿を行うなど色々な効果を期待することができます。特に「美肌の湯」と呼ばれる温泉については雑誌やインターネット上でもよく取り上げられ、身体に良い料理やエステ、可愛い小物などが一緒になった、女性をターゲットとしたプランが人気となっています。

温泉の美肌成分

 温泉に含まれている肌に良い成分は数多くありますが、代表的なものはメタケイ酸です。メタケイ酸はそれ自身が優秀な保湿成分であるだけでなく、肌の角質層の形成を助ける働きがあり、メタケイ酸を含んだ温泉に入浴することによって成分が肌に浸透し、効果を発揮します。兵庫県を代表する温泉地、有馬温泉はこの成分を大変豊富に含んでいます。また、他に温泉に含まれている保湿成分としては塩化ナトリウム、カリウム(いわゆる塩化物泉)や植物由来成分(いわゆる「モール泉」)が挙げられ、前者は海に近い地域を中心に全国各地に分布し、後者は北海道の十勝川温泉等が有名です。

 また、古くなった角質層の除去については、アルカリ性、酸性が強い温泉が有効です。アルカリ性の温泉は「美人の湯」」と呼ばれることがありますが、重曹等のナトリウムイオンが含まれた成分が豊富に含まれており、肌表面の不要な油分や角質を取り除いてくれます。一方、酸性の強い温泉の代表例は硫黄泉で、豊富に含まれている硫黄が肌の古くなった角質だけを柔らかくし、取り除きやすくします。どちらも刺激が強く、また、硫黄泉については特有の刺激臭いがあるため、短時間の入浴がお勧めです。

温泉成分が含まれた化粧品とその効果

 このような温泉の効能を活かすべく、また、ご当地のお土産の新しい定番として、温泉成分を取り入れた化粧品が数多く発売されています。最もポピュラーなものは一般的な化粧水に含まれる精製水を温泉水に置き換えたものです。メタケイ酸を含んだ温泉水がよく使用されており、保湿効果については他の成分の方がより効果的ですが、天然由来の成分で角質層の形成を助ける効果が期待されるため、多く取り入れられています。また、マグネシウムイオンを含んだものについても肌に浸透する際に消炎作用を発揮する為、皮膚トラブルの軽減を目的に開発、発売されています。

 肌質の改善を目的としたもの以外では、拭き取り化粧水としての効果を期待したものも発売されています。拭き取り化粧水とは洗顔を行い、化粧水をつける前に皮脂や古い角質を取り除くために使用されるもので、通常では界面活性剤やAHA、アルコール等が用いられますが、ナトリウムイオンなどを豊富に含む温泉水を取り入れることによって、肌への負担を減らすことができます。また、特有の臭いがあるためややマイナーにはなりますが、化粧水の中に硫黄を取り入れたものについて、その皮脂の除去や殺菌作用によるニキビの改善等を目的に使用されることがあります。

温泉成分のスキンケアへの取り入れ方

 では、温泉成分が含まれた化粧品について、どのようにスキンケアに取り入れてゆけば良いのでしょうか。硫黄に関しては刺激が強く、医薬品扱いの製品もあるためやや注意が必要ですが、他の温泉由来の成分については肌への刺激も少なく、使い心地も極めてマイルドです。また、高価な原料を使うものではなく、自然から湧き出してくるものなので、微量に配合するのではなく、贅沢に使用することが可能です。ご当地のお土産に限らず、普通に店頭で購入できる製品にも温泉水、温泉成分を取り入れたものが多く発売されています。温泉水そのものをボトルに詰めたものも発売されており、ミネラルを豊富に含んだものを吹きかけたりつけたりすることによって肌に必要な成分を補給し、調子を整えることが可能です。

 手軽にスキンケアに取り入れることができる温泉成分ですが、一方で、「温泉そのものの効果ではない」ことは覚えておく必要があります。温泉は大量の温かいお湯に長く浸かるのに対して、化粧品では肌の一部分に塗って使用します。同じ成分が含まれていても使い方が異なるため、温泉に入った時とは肌の感触は異なるものになります。また、温泉水はその時のコンディションによって成分が変動するため、安定した効果を発揮できない(それがために個別の成分ではなく、「温泉水」と表記)といった欠点もあります。結晶の沈殿などの問題もあるため、ある程度製品に取り入れる上での制限もあります。保湿などについてより効果を求めるのであれば、個別の成分が含まれた製品を選んだ方がより効果的です。

したがって、温泉成分を利用したスキンケアについては、この成分が含まれたものを絶対に使いたい、といった選び方よりも、同じような製品が並ぶ中で「折角だから温泉成分が含まれたものを使ってみよう」といった選び方が良いでしょう。商品や含まれている温泉水、温泉成分によって感触や匂いが変わってくるため、どれが自分の好みに合うか、色々と試してみると良いかもしれません。あの素敵だった温泉がボトルに詰まっている、そう考えると、肌の表面だけではなく心の中も潤してくれることでしょう。

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