成分から見たメイク落としの分類

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スキンケアにおける「メイク落とし」について

 朝すっきりと目が覚めて、素敵な1日が始まりそうだと感じても、昨日の疲れが取れなくて何となく憂鬱な一日になりそうだと感じても、身支度を整え、メイクをすることで気持ちが高まり、今日も1日頑張ろうと思う方は多いのではないでしょうか。素敵なメイクは自分の自信に繋がり、仕事もプライベートの成功も、強力に後押ししてくれます。また、最近のメイクは自信をつけてくれるだけではなく、紫外線や乾燥等から肌を守ってくれる働きも持っています。

 そんな肌をよそ行きの状態から戻して、リラックスさせてあげるのがメイク落とし、別名クレンジングの工程です。人間にとって家での気分転換が欠かせないとのと同様に、肌にとってもメイク落としが欠かせません。メイクは肌を保護する作用も持っていますが、油分や顔料は肌の表面を覆うため、そのままでは化粧水などで肌に成分を補うことが難しくなります。また、覆ったメイクの成分と肌から分泌された油脂が混じり合い、肌荒れや毛穴の詰まりの原因となってしまいます。1日の終わりにメイクを落とし、肌本来の状態を取り戻すことによって、肌の再生を助けることができます。

「メイク落とし」とは?

 ところで、何故「メイク落とし」「クレンジング」といった専用の商品があるのでしょうか。通常の洗顔料は水やお湯と一緒に用いますが、これは主に皮膚の脂や汚れ、付着したホコリ等を落とすことに着眼しており、油とはやや馴染みにくい性質を持っています。したがって、洗顔料のみを使ってメイクを落とそうとした場合、成分が十分に溶け込まず、こすり洗って削り取るような形となるため、洗い残しや皮膚へのダメージの原因となります。

メイク落とし(クレンジング)はメイクアップ化粧品に馴染みやすい成分で出来ており、肌表面のメイクを界面活性作用で乳化することによって肌表面から浮き出させる作用を持っています。この浮き出た状態のものは洗顔料で容易に洗い流すことができるため、メイク落としを使うことによってメイクを効率的に、かつ肌を傷つけることなく除去することができます。また、洗顔料の中にはメイク落としの成分を含んだものもあり、ナチュラルメイクであれば1回の洗顔で皮膚の汚れとメイクの両方を除去することができます。

メイク落としの分類と代表的な成分

メイク落としは主に洗浄力の差によって4種類に分類されます。最も強力でかつポピュラーなものはクレンジングオイルです。これはオイルの作用でメイクを浮き上がらせ、界面活性剤で乳化することによって除去するものとなります。普及価格帯のものには非常に洗浄力の高い鉱物油、より高い価格帯のものは少し洗浄力がマイルドなオリーブ油やヒマワリ種子油といった油脂系やエステル系の成分が用いられますが、総じて洗浄力が高く、短時間でメイクを落とすことが出来ます。また、オイルのみを使用し、界面活性剤を使用しない処方も存在します。欠点はメイクと一緒に肌表面の皮脂も洗い流してしまうため、乾燥肌を招いてしまいがちなことで、洗浄力の強い鉱物油系のもので顕著です。クレンジングバームはクレンジングオイルと近い洗浄作用を持っておりますが、体温で溶けるクリーム状の質感を持っており、使用感にやや優れています。

 クレンジングオイルと比較してやや洗浄作用がマイルドになり、常温でクリーム状の性状を示すものがクレンジングクリームです。ややメイク落としには時間がかかりますが、コラーゲンヒアルロン酸といった保湿成分を含んだ処方もあり、また、クリーム状で延びやすい性質を示すため、洗顔の際に強くこすらなくて良く、肌表面を傷つけないといったメリットも持っています。

 クレンジングクリームの洗浄作用をよりマイルドにし、ジェル状の性質を示すものがクレンジングジェルです。日常的なナチュラルメイクを落とすための処方がされているため、しっかりとしたメイクを落とすにはポイントリムーバー等が必要になりますが、ジェル状のため使用感に非常に優れ、油分の配合量の多いものは必要にして十分な洗浄作用を持っています。また、油分を一切含まない、オイルフリーのものも存在します。こちらも保湿成分等を含んだ処方が可能で、また、成分によっては使用後の再洗顔が不要なものもあります。

 最も洗浄力がマイルドなものがクレンジングローションです。油分を含まないものも多くメイクを落とす作用は弱いのですが、水性の為化粧水と同じような処方が可能で、各種の保湿成分等を含んでいることも多いです。また、使用後の再洗顔についても不要な事が多いです。クレンジングローションは他のメイク落としとは異なり、肌への塗布にコットンを使用することが多いのも特徴です。

目的に合わせたメイク落としの選び方

非常に多くの選択肢があるメイク落としですが、どのように選べば良いのでしょうか。これに関しては特定の正解はなく、自身のメイクの度合いや肌の状態に合わせて選ぶことが重要だと考えます。

メイクをしっかりとされている方であれば、メイクを落とすことを最優先として、クレンジングオイルを選ぶと良いでしょう。敏感肌の方は低刺激性のものを好むため、クレンジングローション等に目が向きがちですが、

メイクが肌に残ってしまう、メイク落としに時間がかかってしまう状況はより肌にとっての負荷となります。商品によってはやや洗浄力が強過ぎる場合がありますが、それが気になるようであれば、比較的肌への負担が少ない油脂系のものを用いること、また、界面活性剤不使用のものを用いることによって、肌へのリスクをより抑えることができます。

一方で、普段ナチュラルメイクで過ごされている方であれば、メイク落としはクレンジングジェルやクレンジングローション等の比較的マイルドなもので十分です。好みや肌の状態に合わせて使用の感触や保湿作用等に優れたもの、界面活性剤不使用のもの、使用後の洗顔が不要なもの等を色々と試してみると良いでしょう。ただ、あまりにも洗浄力の弱いものの場合、肌をこする回数がどうしても多くなり肌を傷つける原因となるため、ある程度の洗浄力は必要になります。

 基本的にどれを選んでも良いメイク落としなのですが、唯一の例外として、クレンジングシートはあまりお勧め出来ません。時短には便利でメイクもよく落ちるクレンジングシートなのですが、「こする」といった動作が必ず付随するため、肌を傷つけてしまいます。旅行等の持ち歩き目的で使用するのは結構ですが、毎日は使わないようにして下さい。

「化粧落とし」は意外に見逃されがちですが、肌の状態を保つためにはとても重要で、商品毎に細かいニーズに合わせた成分が配合されているため、上手く選ぶことが必要になります。この記事が貴女の化粧品選びに少しでも役立つことを祈ります。

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