ベヘン酸

調べもの

使用の目的:製品の安定化、光沢感の付与

類似した成分:ステアリン酸

 ベヘン酸とは化粧品に幅広く含まれている成分で、化学式   C22H44O2で表される直鎖飽和脂肪酸の一種です。ベヘニン酸と呼ばれることもあり、常温では白色もしくは黄色の結晶状態の固体で、水やエタノールに溶けにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。天然ではワサビノキ等にやや多く含まれていますが、工業的には菜種油を加水分解、精製して得る方法が一般的です。

 特筆すべき性質としては脂肪酸としては比較的高い融点が挙げられます。一般的に化粧品に使われている脂肪酸はオレイン酸など常温で液体のものが中心ですが、ベヘン酸の融点は75℃前後と高く、夏場の高温でも固体の状態を保ち続けます。そのため、化粧品の品質を安定化させる目的でよく利用されます。また、光沢性に優れているため、ヘアワックス等も好んで利用されます。

 天然由来で肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、飽和脂肪酸であるため化学的に安定しており、酸化等の影響も受けにくいことが特長です。しかし、他の脂肪酸と比較して動植物に含まれている量が微量であるため大量生産が難しく、また、石鹸として利用した場合、常温ではほとんど泡立ちません。

 類似した成分としてはステアリン酸が挙げられます。ステアリン酸は炭素数18の直鎖飽和脂肪酸で、ベヘン酸と同様に常温では固体であり、製品の融点を調整して安定化させる目的で用いられます。ステアリン酸はシアバターや馬油等、動植物由来の油に多く含まれており、また、炭素鎖が短く石鹸として使った場合の泡立ちにも比較的優れているため、ベヘン酸より一般的な選択肢として広く用いられています。

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