使用目的:使用感の向上、乳化の補助
類似した成分:セチルアルコール、ステアリルアルコール
ベヘニルアルコールとは化粧水やクリーム、乳液等のスキンケア化粧品やヘアコンディショナー等に使用されている成分で、化学式C22H46Oで表されるアルコールの一種です。医療目的等ではドコサノールと呼ばれることもあります。常温では白色のフレーク状の物質で、工業的には菜種油を水素で還元することによって得られます。
化粧品に使用する場合、特筆すべき性質としては成分の乳化を補助する効果の高さが挙げられます。ベヘニルアルコールは直鎖状の炭化水素を構造中に持つことから油性成分との馴染みが良いのですが、末端に水と馴染みやすいヒドロキシル基も持つため、配合すると油性成分と水性成分の仲介役として作用します。適切な乳化剤と併用することにより、化粧品の成分をより分離しにくくすることが可能です。また、口紅等の油性化粧品に配合すると水分との馴染みやすさを改善するため、オイリーな感触を抑えることが可能です。
ベヘニルアルコールはアルコールの一種に分類されますが、親油性の構造の部分が長いためエタノールやイソプロパノールといった一般的な「アルコール」とは作用が大きく異なります。殺菌や清涼感、毛穴を引き締める効果といった効果は期待できませんが、肌への刺激も非常に弱く安心して利用できるため、「アルコールフリー処方」でも多く取り入れられています。菜種油由来の成分であることから水に溶けにくく、油との馴染みが良いため、天然由来の油性成分と一緒にしばしば使用されます。
類似した構造や効果を持った成分としてはセチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられます。いずれも炭化水素にヒドロキシル基がつながった構造は共通で、乳化を補助する効果は共通していますが、1分子あたりの炭素原子数が異なり、セチルアルコールは16個、ステアリルアルコールは18個が含まれます。炭素原子が短くなる程ヒドロキシル基に由来する保湿効果が強くなりますが、肌への刺激性もやや強くなり、また、やや柔らかい質感となります。化粧品に配合する際には目的に応じて選択、もしくは混合する形で使用されます。
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