シャンプーで最も有名な成分?「ジメチコン」
シャンプーに利用されている成分、と聞いて、貴方はどんなものを思い浮かべますか。シャンプーには汚れを落とす、毛髪を保護する、香りづけなど様々な目的の成分が含まれていますが、最も有名な成分の1つとして「ジメチコン」が挙げられます。ジメチコンはシリコンオイルの一種で、髪の指通りを良くしたり、髪を保護したりする作用があることで知られており、いわゆる「ノンシリコン」ではないシャンプーには必ずジメチコンもしくはよく似た構造を持った成分が利用されています。
また、ジメチコンはシャンプー以外でもとても身近な成分です。ジメチコンはファンデーションや日焼け止めなどにも広く利用されており、もし貴方がノンシリコンのシャンプーを使っていたとしても、ほぼ毎日、何らかの形で肌や髪につけていることでしょう。時に「毛穴を塞いでしまう」「髪に悪い」成分として取り上げられることもあるジメチコンですが、一体、どんな成分なのでしょうか。そして、どうしてここまで多くのアイテムに利用されているのでしょうか。
ジメチコンの特長①「滑らかで」「ベタつかない」オイルとしての使いやすさ
ジメチコンは化学式(C2H6OSi)nで表されるシリコンオイルの一種で、常温では無色透明の液体です。また、その「オイル」の名前や化学式から推定されるように、水とはほとんど馴染まず、油分と馴染みやすい性質を持っているため、油性基剤(油分を溶かすための溶媒)として利用することができます。
化粧品向けの油性基剤には多くの種類が存在し、身近なものとしてはミネラルオイルやオリーブオイルなどが挙げられますが、ジメチコンの特長としてその軽い使用感が挙げられます。ジメチコンの中でも重合度(分子の大きさ)が小さなものは粘度が低く、サラサラとしているため使用感に大変優れています。そのため、化粧品をノビやすくしたり、肌や髪へのつけ心地を良くしたりするために利用されています。
また、重合度の小さなジメチコンは揮発性が高く、その事も使用感の良さを生み出している大きな理由です。先に挙げたミネラルオイルやオリーブオイルは肌へのつけ心地こそ悪くないのですが、揮発しないため洗い落とさないと肌に残るため、乾燥肌で困っている時期はそれでも良いのですが、皮脂の分泌が多い時期はどうしても重く感じられ、毛穴を塞いでしまう原因ともなります。一方、このタイプのジメチコンは揮発することによって必要な成分のみを肌にとどめ、自身はほとんど残留しないため、使用感はとても軽く、また、毛穴を塞いでしまう心配も少ないです。
ジメチコンの特長②髪や肌をコーティングする作用
一方、重合度の高いジメチコンはややベタついた感触で、その低い揮発性から肌や髪に残りやすいため油性基剤として「使うべき」メリットは薄くなります。しかし、このジメチコンは肌や髪の上で撥水性に優れた薄い皮膜を形成する作用があるため、その性質を活かして使われることが多くなります。
シリコンシャンプーのメリットとして「指通りが良くなる」ことが挙げられますが、ジメチコンが含まれたシャンプーを髪につけると表面に光沢性のある滑らかな皮膜を形成し、指通りの悪さやパサつきの原因となる毛髪のキューティクルの剥がれを物理的に押さえつけます。そのため、ジメチコンが含まれたシリコンシャンプーはマイルドな洗浄作用によって髪や頭皮を改善しようとするノンシリコンシャンプーと比較して、直ぐに効果を実感することができ、使用感の面でも優れています。
また、ジメチコンはファンデーションや日焼け止めでもよく利用されています。ファンデーションや日焼け止めは汗や雨で落ちにくく、かつクレンジングオイルや洗顔料で落としやすいことが求められますが、ジメチコンの皮膜は撥水性に優れているため汗や雨をよくはじき、かつ薄く油分にも馴染むため、「比較的落としやすい」ことが特徴です。また、この皮膜は無色透明のため、ファンデーションなどの色味を変えてしまうこともありません。
長所が短所になることも…
このように化粧品成分として多くのメリットを併せ持っているジメチコンですが、時にそのメリットがデメリットになることもあります。先に紹介したように、シャンプーに含まれているジメチコンは髪の表面に皮膜を作り、キューティクルをよく整えますが、この皮膜が水をよくはじくため、ヘアカラーやパーマに使う薬剤の浸透を妨げ、仕上がりを悪くしてしまいます。そして、この皮膜がずっと頭皮に残ると毛穴に詰まってしまい、かゆみなどの原因となってしまうことがあります。
また、ジメチコンの作用は髪の根本的なダメージを修復するものではなく、あくまでも剥がれたものを「寝かせる」「押さえつける」ことによって一時的なツヤ感や指通りの良さを実現しています。シリコンシャンプーにはしばしば高級アルコール系の洗浄力の強い成分が用いられており、皮脂不足や髪のダメージ悪化を引き起こしてしまうことがありますが、ジメチコンはその問題を文字通り覆い隠してしまいます。そして、髪へのダメージが蓄積するとシャンプーの際にキューティクルがジメチコンと一緒に剥がれてしまうため、髪の状態がさらに悪化してしまいます。ジメチコン自体が髪に悪い訳ではないのですが、髪のダメージを自覚している場合は洗浄力がマイルドなアミノ酸系のノンシリコンシャンプーを使うことも検討すると良いでしょう。
化粧品に欠かせない、便利な存在として
このように、ジメチコンは化粧品をより使いやすくするための成分として、あらゆる製品に利用されています。シャンプーやトリートメントではジメチコン(シリコン)の「お手軽さ」「使用感の良さ」がデメリット(異常に気が付かない)になることもありますが、基本的には肌にも髪にも負担をかけない安全で便利な成分のため、今後も様々な形で利用され続けてゆくことでしょう。「髪に悪い」「肌に悪い」といって避けていた方もいらっしゃるかもしれませんが、今一度、その恩恵に預かってみてはいかがでしょうか。