次世代型のピーリング成分「PHA」?
貴方は今、どんな肌の悩みを抱えていますか。ベタつきやカサつき、シミやくすみなど、皮膚科に通う程ではなくても、何かと小さなトラブルに見舞われがちなのが私達の肌です。そんな肌の悩みを解決するための方法の1つが「ピーリング」で、グリコール酸やクエン酸、サリチル酸等、「AHA」や「BHA」と呼ばれる成分が含まれたアイテムを用いることで古い肌の角質を剥がしたり、毛穴に詰まった皮脂を溶かしたりすることで、くすみやカサつきを目に見える形で改善することができます。
しかし、従来のピーリングは効果を求めようとすると肌への刺激がかなり強かったり、使用する成分によっては美容皮膚科での施術が必要だったりと、やや敷居の高い存在でした。そんな中で最近注目されつつある成分が「PHA」です。PHAが含まれたピーリング剤は従来のものよりも肌への刺激性が低いだけではなく、保湿や抗酸化作用など、肌を日々の刺激から守る効果にも優れていると言われています。一体、PHAとはどんな成分で、私達の肌にどんな作用をもたらしてくれるのでしょうか。
「PHA」とはどんな成分なの?どんな効果が期待できるの?
PHAとはポリヒドロキシ酸(Poly Hydroxyl Acid)の略で、代表的な成分としてはグルコノラクトンやラクトビオン酸が挙げられます。グルコノラクトンはハチミツなどに多く含まれ、通称「ハチミツ酸」とも呼ばれる有機酸、ラクトビオン酸はカスピ海ヨーグルトなどに含まれている乳酸の発酵物でいずれも天然由来の成分です。両者は構造内に多くのヒドロキシル基を多く持っているため水に溶けやすく、また、それぞれの分子量が178、358と肌への浸透性の基準となる「500ダルトンルール」以下であるため、肌につけると表面のバリア機能を通過して角質層へと浸透します。
角質層へと浸透したPHAは細胞間の結合、接着構造を担っている「コルネオデスモソーム」という部分に作用し、カルシウムイオンをキレート化することによってその結合力を弱め、古い角質が剥がれ落ちやすいようにします。このPHAの性質はAHAにも共通するものですが、分子量100以下のAHAであるグリコール酸、乳酸と比較して分子量が大きいため、角質層にゆっくりと浸透し、徐々にその作用を発揮します。また、PHAはカルシウムイオンだけではなく、他の金属イオンもキレート化するため、肌内部に存在する鉄イオンや銅イオンを封じ込め、紫外線による活性酸素の発生を抑制し、シミやシワの発生を予防する効果も期待できます。
PHAは保湿作用にも優れています。グルコノラクトンやラクトビオン酸はグルコースやガラクトースといった単糖類に由来する物質であり、水に溶かすと構造内の複数のヒドロキシル基と水分子の間で強力な水素結合が形成されます。そのため、これらの物質は単に水に溶けやすいだけではなく、周囲の水分を取り込んだり、水分子の蒸発を防いだりすることによって保湿、保水作用を発揮します。その作用は保湿成分の中でも特に強い部類に分類され、代表的な保湿成分として知られるヒアルロン酸に匹敵するとも言われています。
「PHA」が肌に優しい理由は?
従来のピーリング剤に最も用いられている成分はAHAの一種のグリコール酸ですが、分子量76と比較的小さな分子であるため肌につけると急速に浸透し、角質層やその奥の基底層に作用して古い角質を剥離させたり、ターンオーバーを促進したりすることで肌を生まれ変わらせます。しかし、グリコール酸はかなりの強酸性を示し、また、その浸透速度が速いことから肌への負担がかなり強く、他のAHAに関しても多かれ少なかれその傾向がありました。AHAによって角質を剥がされた肌はバリア機能が一時的に弱まるため、水分を失いやすく、また、ビタミンCやレチノール等、スキンケア成分起因の刺激にも過敏に反応してしまうようになります。
一方、先に説明したように、ピーリング剤としてのPHAは比較的穏やかな浸透力、優れた保湿作用などを特徴としています。PHAが含まれた製品を肌につけると角質のごく表面のみが剥離されるため、バリア機能の低下は最小限に留まる一方、成分自体の保湿作用によってより多くの水分を肌に留めようとします。そのため、AHAのようなはっきりとした効果は実感しにくいのですが、肌への刺激や使用後の乾燥を抑えることができます。
このPHAを使った刺激の少ないピーリングは水光ピーリングとも呼ばれており、韓国発の肌にツヤ感と潤いを与えてくれるスキンケア方法として注目を浴びるようになっています。水光ピーリング向けの剥離成分としては必ずしもPHAのみが利用されている訳ではなく、しばしば乳酸をはじめとしたAHAとの組み合わせで利用されることが多いのですが、グリコール酸やBHAを中心とした従来の製品と比較すると刺激性が低く、使いやすいものとなっています。
PHAを使ったセルフピーリング、どうやって取り入れればいいの?
このように、PHAはピーリング作用についてはAHAに及ばないものの、その分刺激性が低く、また、保湿効果などを併せ持っているため、肌への負担が比較的少ない成分です。そのため、PHAのみが使用されている製品はピーリング自体が初めて、あるいは敏感肌の状態でも使いやすく、カサつきやくすみに対しての切り札としてではなく、それらを予防するためのアイテムとして、より気軽に利用することができます。
AHAのみが配合されている低濃度のものは毎日のケアに、高濃度、あるいはAHAと併用されているものは週に2回程度、レチノール等との併用を避けたり、使用後に日焼け止めを塗ったり、といった心がけこそ必要ではあるものの、通常の洗顔料や化粧水により近い感覚で使用することができます。また、PHAはAHAと同様に肌への成分の浸透性を高める作用も期待できるため、使用後に保湿やバリア機能の改善に効果のある乳液や美容液を用いることで、その効果をより高めることができます。
ピーリング、と聞くと敷居が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、PHAは「次世代のAHA」として、そのハードルを大きく下げています。ピーリングに興味があるけれども刺激が怖くて踏み切れない、といった方は一度、PHAが利用されたアイテムを使ってみてはいかがでしょうか。

