使用の目的:香料
類似した成分:ゲラニオール、シトロネロール
ギ酸シトロネリルとは一部のフレグランス製品に利用されている成分で、化学式C11H20O2で表されるギ酸エステルの一種です。常温では無色透明の液体で、水に溶けにくく、エタノールや油性溶媒と馴染みやすい性質を持っています。天然にはバラやゼラニウムの花びらに含まれており、抽出して得ることもできますが、工業的には化学的に合成可能なシトロネロールとギ酸を反応させることによって得られます。
特筆すべき性質としてはその特有の香りが挙げられます。ギ酸シトロネリルはバラの花弁や柑橘系の果実を思わせる甘さと爽やかさを兼ね備えた香りを持っており、ゲラニオールやシトロネロールとの組み合わせでバラやゼラニウムの香りをより忠実に再現することができます。そのため、香料成分の1つとして様々な製品に利用されています。
天然由来でかつ比較的容易に合成することができるため、香り成分としての利便性と安全性を兼ね備えています。また、バラの香り成分の中では爽やかさや若干の刺激臭を持ったややユニークな存在で、他の成分と併用することによって、様々な心地よい香りを生み出すことができます。しかし、「刺激臭」に関しては好みが分かれるもので、香りを少し苦手に感じる方もいらっしゃるでしょう。
類似した成分としてはゲラニオールが挙げられます。ゲラニオールはギ酸シトロネリルと同様にバラやゼラニウムに含まれる香り成分の一種で、「バラの香り」をはじめとした香料にしばしば用いられる成分ですが、ギ酸シトロネリルと比較してより甘く穏やかな香りが特徴です。製品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされています。