使用の目的:赤色顔料、抗酸化作用
類似した成分:パプリカ色素、レチノール
βカロチンとは一部のメイクアップ、スキンケア製品に利用されている成分で、化学式C40H56で表されるカロテノイド色素の一種です。βカロテンと呼ばれることもあり、常温では赤褐色の結晶状の物質で、水やエタノールに溶けにくく、有機溶媒と馴染みやすい性質を持っています。天然に幅広く存在する成分で、ニンジン由来のものが有名ですが、βイオノンを出発原料として工業的に合成する方法も広く用いられています。
特筆すべき性質としては優れた赤色顔料としての性質が挙げられます。βカロチンは鮮やかな赤褐色を示し、他の天然由来顔料であるパプリカ色素やコチニール色素とはまた異なった色味であるため、メイクアップ製品を着色する目的で用いられています。また、βカロチンはレチノールの前駆体であり、肌につけるとレチノールと同じ作用を示すため、肌のターンオーバー促進等の効果を期待して配合されることもあります。
天然由来で食品やサプリメントとしてもお馴染みの成分のため、安心、安全に利用可能です。また、タール色素やコチニール色素といった他の赤色成分と比較してより低刺激な成分として知られており、アレルギー等の心配もありません。しかし、紫外線によって退色しやすい性質を持っており、しばしば酸化防止剤と併用されています。
類似した成分としてはパプリカ色素が挙げられます。パプリカ色素はβカロチンと同様に天然由来の赤色色素で、低刺激な化粧品の顔料として用いられますが、色味がより赤に近いことが特徴です。化粧品には求める色味に合わせて使い分けがされていますが、パプリカ色素の方がやや好んで利用されています。