最も身近な「いい香り」、ラベンダーにはどんな香り成分が含まれているの?

人気記事

最も身近な「いい香り」、ラベンダー

 毎日使う化粧品、自分好みの1品を作ることができるとして、貴方はどんなものが欲しいですか?肌のハリやツヤを改善してくれること、気になる部分を隠して上手く「魅せて」くれること、手間いらずで使えて効果長持ちのもの、求めるものは人それぞれかと思いますが、第一に、「毎日使いたくなるもの」であるものではないでしょうか。忙しい朝のひと時が、あるいはお風呂上りやおやすみ前のひと手間が、「面倒」ではなく「幸せ」に感じられれば、貴方の人生はもう少しだけ素敵なものになるでしょう。

 化粧品を毎日使いたくなるための仕掛けとして使われているものの1つが「香り」です。良い香りを嗅ぐと、自然と満たされた気持ちになります。ローズにバニラにベルガモット、シトラス、バニラにジャスミン、あらゆる匂いの化粧品が発売されていますが、最も身近な香りは「ラベンダー」ではないでしょうか。ラベンダーは精油や芳香剤の代表的なフレグランスとしても知られていますが、その爽やかで主張し過ぎない香りは多くの人に好まれ、あらゆる化粧品に取り入れられています。

ラベンダーの香り、どんな成分が含まれているの?

日常に溢れているラベンダーの香りですが、どんな成分によるものなのでしょうか。ラベンダーの香りを生み出している代表的な成分は「リナロール」です。リナロールはラベンダーの他にもイランイランやスズラン、ベルガモットに豊富に含まれており、揮発することによって「フローラルな香り」を感じさせます。人気のある精油の多くにリナロールが含まれており、「心地良い匂い」の代表格といえるでしょう。また、リナロールの酢酸エステルであり、ベルガモットやネロリ等に多く含まれている「酢酸リナリル」も代表的な成分で、リナロールと比較してより甘く優しい香りが特徴です。いわゆる「ラベンダーの香り」と呼ばれる製品はリナロール、酢酸リナリルを主成分としていますが、一部の方にとって「ラベンダー以外のいい香り」にも感じてしまう原因ともなっています。

一方、ラベンダー固有の香りを生み出している成分の代表的なものとしては、ラバンデュロールが挙げられます。ラバンデュロールはバラの香り成分として有名なゲラニオールと同じく、モノテルペンの一種に分類されますが、レモンのような柑橘系の香りを感じさせます。また、種類によっては樟脳等に含まれているカンファーが含まれており、やや刺激的な匂いを感じることもあります。これらの成分の含有量は比較的少量ですが、天然のラベンダー精油のより繊細で複雑な匂いを形成している要素です。

ラベンダーの香りにはどんな効果があるの?

 では、ラベンダーの香りにはどのような効果があるのでしょうか。代表的な成分であるリナロール、酢酸リナリルはどちらも甘い香りで、気持ちを落ち着かせてくれる成分として有名ですが、作用機構が若干異なります。リナロールは主に脳の副交感神経に働きかけて気持ちを落ち着かせますが、とりわけ脳の抗不安回路に働きかける作用があるため、脳が感じている不安を和らげます(カンファーが含まれている種類のラベンダーではよりその効果を期待できます)。また、リナロールには抗菌作用もあり、化粧品ではその目的を期待して配合されることもあります。

 一方、酢酸リナリルも脳の副交感神経に働きかけますが、とりわけ気分を落ち着かせ、寝つきを良くするための成分であるセロトニンの分泌を誘発します。ラベンダーが入眠前の精油として勧められているのはこの作用によるものです。また、酢酸リナリルは抗炎症作用も持っているため、簡単な傷を治す目的でも使われることがあります。精油は原則肌に塗ることはできませんが、ラベンダー精油に関しては肌に直接塗って使うことができます。

ラベンダーの香りが苦手、どうして?

香りの良さとリラックス効果、肌に精油を塗っても大丈夫な安全性を兼ね備えたラベンダーですが、どうも香りが苦手、といった方もいらっしゃることでしょう。実は「香り」に関しては感じ方に個人差があり、同じ人であってもホルモンバランス等の影響で感じ方が変わることがあります。多くの人にとってラベンダーは「良い香り」として感じられますが、体質によっては「不快な香り」と感じてしまうこともあります。また、天然のラベンダーの種類によってはカンファー等の刺激的な匂い成分が多く含まれるため、精油の「鼻につくような匂いが気になった」という方は、おそらくそれが原因と考えられます。

 また「ラベンダーの匂い」の使われ方も原因の1つです。ラベンダーの匂いは精油や化粧品に求められるリラックス効果だけではなく、しばしば「マスキング効果」を期待して、消臭剤の芳香成分としても使用されています。香りは人間の脳の記憶を司る場所に直接働きかけると言われていますが、ラベンダーの匂いが富良野の一面の花畑ではなく、芳香剤の置かれやすい場所、例えばお手洗いや洗面所に結び付けられ、匂いを嗅いでもあまりリラックスした気持ちになれない、といったことが起ってしまいます。

ラベンダーの匂い、もっともっと取り入れてみませんか?

 あまりにも身近であるため、時には「良い香り」であることも忘れてしまうラベンダーですが、広く使われているのにはそれだけの理由があります。天然由来のラベンダー精油、香料も比較的簡単に手に入れることができますが、リナロールや酢酸リナリルを合成して人工的に調合したものを「ラベンダーの香り」として、化粧品を含めた様々な製品で利用することができます。

 人工的に合成したラベンダー香料でもその甘い香りを手軽に楽しむことができますが、天然由来の香料を使った製品ではより繊細な香りを楽しむことができます。化粧品に取り入れられているものは一部の精油に含まれるカンファー等の刺激的な成分が少なく、かつ芳香剤のような単調な香りでもない為、苦手な方でも安心して使うことができるでしょう。また、ラベンダーオイルや芳香蒸留水を使った化粧水等も発売されており、「香り」と「スキンケア」の両方の効果を実感することができます。

 ラベンダーの匂いは私達の生活にとって欠かせない存在として、これからも様々な製品に取り入れられてゆくでしょう。今まで大好きだった人も、それ程好きではなかった人も、改めてその効果を期待して、その優しく自然な香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました