使用目的:保湿作用、使用感の改善、温感成分
類似した成分:ジグリセリン、カルボマー、ヒアルロン酸
グリセリンとはあらゆる種類の化粧品に使用されている成分で、化学式C3H8O3で表されます。常温では無色透明のとろみの強い液体で、空気中の水分を吸収して溶解する性質(潮解性)を持っています。工業的には天然由来の油脂を加水分解、精製する方法とプロピレンから合成する方法があり、それぞれ天然グリセリン、合成グリセリンと呼ばれます。有益な性質を多く持っており、化粧品だけではなく、食品添加物や医薬品、機械の不凍液といった分野に幅広く用いられています。
特筆すべき作用としては保湿効果の高さが挙げられます。グリセリンには吸湿作用があり水分を保持しやすいこと、また、分子量が小さく肌に浸透しやすいことから、濃度5-10%のグリセリンを肌に塗ると高い保湿効果を発揮します。保湿効果自体の高さに加えてグリセリンは「とろみが強く、肌に塗りやすい」といった部分でも優れており、保湿と使用感の良さを兼ね備えた成分として広く用いられています。他には空気中の水分を吸収した際に発熱するため、温感効果を期待して使用されることもあります。
水にも油にも溶け、優れた機能性と使用感、高い安全性を兼ね備えていることから化粧品にとって理想的な成分の1つですが、高濃度で使用した場合、肌の水分を逆に奪ってしまうことがあります。また、濃グリセリン(独立した成分として取り上げられることがありますが、精製されたグリセリンは元々「濃グリセリン」で、目的に応じて薄めて用います)の状態ではべたつきが非常に強く、使用感も良くありません。そのため、肌の保湿を目的として手作り化粧水等に使用する場合は濃度を10%以下に調整することを推奨します。
保湿効果に関してはヒアルロン酸やセラミド等、より優れた効果を持つ成分があるため、それらと併用する形で使用されることが多いです。また、化粧品にとろみをつける成分としてはグリセリンの他にキサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボマー等が挙げられますが、グリセリンが最も広く使用されています。
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