使用目的:pH調整剤 、金属イオンの作用抑制
類似した成分:TEA、エデト酸二ナトリウム、エチドロン酸
クエン酸ナトリウムとは様々な種類の化粧品に使用されている成分で、化学式Na3C6H5O7で表されるクエン酸のナトリウム塩です。クエン酸は構造中にカルボキシル基を3個持っており、水素を1個~3個ナトリウムに置換されたものが存在しますが、化粧品向けとしては主にカルボキシル基の水素が3個置換されたものが使用されています。常温では無色または白色の粉末もしくは結晶であり、工業的にはデンプン、糖蜜をコウジカビによって発酵させることによってクエン酸を製造し、製造したクエン酸を処理することによって得られます。化粧品だけではなく食品の分野でも広く用いられています。
特筆すべき作用としてはpH調整剤としての役割が挙げられます。化粧品に含まれる成分には強い酸性もしくはアルカリ性を示す物質がありますが、肌への刺激を考えた場合、化粧品のpHは弱酸性~弱アルカリ性の範囲に保たれることが望ましいです。また、化粧品の成分の中にはある特定のpHを外れると沈殿や変性を起こすものがあります。クエン酸ナトリウムを化粧品に加えることにより、構造中のナトリウムイオンが製品中に適宜供給され、弱アルカリ性のpHを維持することが可能です。
また、クエン酸ナトリウムは化粧品に含まれる金属イオンの作用も抑制します。金属イオンは微量でも油脂成分の変性や有効成分の阻害等、厄介な作用を引き起こしますが、クエン酸ナトリウムを加えることによって金属イオンの作用を抑制し、化粧品の品質を保つことが可能です。
食品添加物、医薬品としても用いられる成分で、肌への刺激性もないため安心、安全に使用することが可能です。類似した成分を採用する場合、pH調整剤としてはトリエタノールアミン、金属イオンの作用抑制剤としてはエデト酸二ナトリウム、エチドロン酸等が選択肢となりますが、刺激性、安全性の観点からはクエン酸ナトリウムが最も優れています。
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