クエン酸

成分

使用目的:pH調整剤、収れん作用

類似した成分:クエン酸ナトリウム、ビタミンC、TEA(アルカリ性)

クエン酸とはあらゆる種類の化粧品に幅広く使用されている成分で、化学式C6H8O7で表されます。常温では白色の結晶で、空気中の水分を吸収して溶解する性質(潮解性)を持っています。天然ではレモンやウメ等、食物として摂取した際に酸味を感じる植物に豊富に含まれており、工業的にはデンプンもしくは糖蜜をコウジカビによって発酵させることによって得られます。化粧品以外では食品用途でも幅広く用いられています。

 特筆すべき作用としてはpH調整剤としての役割が挙げられます。肌表面のpHは一般的に4.5-6.0程度の弱酸性に保たれており、化粧品の肌への刺激性を考えた場合、この範囲に保つことが理想的です。しかし、肌表面の角質を軟化させる、余分な皮脂を取り除くといった目的を考えた場合、弱アルカリ性の成分の配合が必要になり、また、化粧品の成分の中にはある特定のpHを外れると沈殿や変性を起こすものがあります。クエン酸を化粧品に加えることにより、構造中のカルボキシル基から製品中に水素イオンが適宜供給され、望ましいpHを維持することが可能です。また、他の弱酸性の成分と同様に毛穴を引き締め、皮脂の分泌を防ぐ収れん作用も持ち合わせています。

 食物に豊富に含まれており、古くから利用されてきた成分であるため安心して使用することが可能です。食品等では「pH調整剤」と表記されることがあるため、リスクの高い成分と誤認されることがありますが、化粧品や食品の状態を維持するためには欠かせない成分です。

 同様の効果を持った成分としてはナトリウム塩であるクエン酸ナトリウムやアスコルビン酸(ビタミンC)等が挙げられ、化粧品を弱酸性に保つために使用されます。一方、弱アルカリ性に保つことを目的とした成分はトリエタノールアミンが代表的で、セッケンやカルボマーの安定化に重要な役割を果たしています。

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