使用目的:肌の角質の軟化、美白
類似した物質:サリチル酸、トラネキサム酸
硫黄とは主に美白を目的としたクリームや殺菌等を目的とした化粧品に含まれている成分で、化学式Sで表されます。成分表示では片仮名の「イオウ」と表記されることが多いです。温泉の有効成分としても広く知られています。
特筆すべき性質としては肌の古い角質を軟化させ、取り除く作用が挙げられます。一般的に弱アルカリ性の性質を持った成分には肌の角質を取り除く作用がありますが、その作用が強く必要な油分まで取り除いてしまうのに対し、硫黄は作用が穏やかで古い角質を選択的に取り除くこと、また、油分を適度に取り除くことから肌への負担が少なくなります。また、殺菌作用も併せ持っているため、古くからニキビ等の治療薬として、医療目的でも用いられてきました。かつては還元作用によるメラニン生成の抑制効果を期待して、美白成分としても用いられてきましたが、より効果や利便性の面で優れた物質が相次いで登場したため、最近ではその目的では使われなくなりました。
肌への刺激性も少なく角質除去の効果については大変優れているのですが、成分として水にも油にもアルコールにも溶けにくいため処方に制限があること(クリームに混ぜ込む、化粧水に溶けないまま混ぜる等)、また、硫黄特有の臭いが強すぎること、また、粉末がなじまず肌の上に残るなど使用感の上で大きな問題を抱えているため、化粧品成分としてはややマイナーな存在です。
同じような作用を持った成分としては、角質軟化作用についてはサリチル酸、美白効果についてはトラネキサム酸などが挙げられます。サリチル酸やトラネキサム酸はアルコール等に溶けやすく水にも若干溶けること、また、特有の臭い等も存在しないことから化粧品成分としての利用が容易であり、一般的な化粧品の処方としてはそちらが好んで用いられます。
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