使用の目的：低刺激の石鹸成分、石鹸素地
類似した成分：ステアリン酸カリウム、パルミチン酸
パルミチン酸カリウムとは一部の洗顔料やボディーソープを中心に利用されている成分で、化学式C16H31KO2で表される高級脂肪酸カリウム塩の一種です。常温では白色もしくは淡黄色の粉末状の物質で、熱水やアルコールにやや溶けやすい性質を持っています。工業的にはパーム油等から精製したパルミチン酸に水酸化カリウムを反応させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としては穏やかな洗浄作用が挙げられます。石鹸に使用される脂肪酸の中でも比較的分子量の大きなパルミチン酸は皮脂や油汚れを落とす作用は比較的穏やかですが、肌への刺激性は低く、また、お湯を使うことで十分に泡立て、それを持続させることができます。また、パルミチン酸カリウムは石鹸の素（セッケン素地）として用いられることもあり、他のカリウム石鹸と同様に「液体石鹸」向けに使用されます。
天然由来の成分で、他のカリウムセッケンと比較しても肌への刺激性も穏やかであるため、安心、安全に利用可能です。また、選択的洗浄性を持っており、皮脂汚れを十分に洗い流す一方で、肌の保湿力をあまり損ないません。しかし、冷水にはあまり溶けないため常温での洗浄力は不十分で、しばしば他の成分との組み合わせで利用されます。
類似した成分としてはステアリン酸カリウムが挙げられます。ステアリン酸カリウムはパルミチン酸カリウムと同様にステアリン酸のカリウム塩で、化粧品に石鹸素地として利用されていますが、洗浄力はより穏やかで、単独ではあまり用いられていません。化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分け、もしくは併用がされています