使用の目的:増粘
類似した成分:カラギーナン
アルギン酸ナトリウムとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式(NaC6H7O6)nで表される水溶性天然高分子の一種です。アルギン酸ソーダと呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の物質で、水に溶けやすく、エタノールや油に溶けにくい性質を持っています。工業的には海藻中に豊富に存在するアルギン酸を精製し、ナトリウムで中和することによって得られます。
特筆すべき性質としては特徴的な増粘作用が挙げられます。アルギン酸ナトリウムを水に溶かすと比較的滑らかな粘性を発揮し、また、一般的な増粘剤のように温度変化に拠らず、カルシウムイオンと反応することによってゲルを形成します。そのため、アルギン酸ナトリウムは化粧品の増粘やメイクアップ製品の汗や摩擦による色落ちを防ぐ目的で利用されています。
天然の海藻由来で食品としてもお馴染みの物質で、肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、原料のアルギン酸とは異なり、水に溶けやすく吸湿性にも優れているため、使い勝手の面で優れています。しかし、pHによる影響を受けやすく、特に強酸性条件下では十分に溶けずに沈殿し、十分な増粘作用を得ることができません。
類似した成分としてはカラギーナンが挙げられます。カラギーナンはアルギン酸ナトリウムと同様に天然の海藻由来の高分子化合物で、化粧品向けの増粘剤として利用されていますが、より増粘やゲルの形成作用が強いことが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされていますが、カラギーナンの方がより一般的に利用されています。