炭酸カルシウム

成分

使用の目的:体質顔料

類似した成分:硫酸バリウム

 炭酸カルシウムとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式CaCO3で表されるカルシウム塩の一種です。化粧品以外では「炭カル」と呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の固体で、水にも油にも馴染みにくい一方、酸には溶けやすい性質を持っています。工業的には石灰石を精製することにより、大量に得ることができます。

 特筆すべき性質としては体質顔料として優れていることが挙げられます。炭酸カルシウムは柔らかく滑りの良い粉末で、水にも油にも溶けにくく肌につけやすい性質を持っているため、主にパウダー製品の色味を均一かつ穏やかにしたり、つけ心地をよくしたりする目的で用いられています。また、炭酸カルシウムは多孔質の成分で、余分な皮脂などをよく吸着するため、洗顔料などのスクラブ剤として、あるいはメイクアップ製品に「化粧崩れを防ぐ」目的で配合されることもあります。

 化粧品以外でも様々な目的で利用されている成分で、肌への刺激性や毒性も認められていないため、安心、安全に利用可能です。また、炭酸カルシウムの原料である石灰石は日本国内で自給可能なため、供給の安定性にも大変優れています。しかし、水や油に溶けない一方で酸には弱く、また、体質顔料としては優れているものの、白色顔料としてのカバー力は酸化チタンや酸化亜鉛に大きく劣ります。

 類似した成分としては硫酸バリウムが挙げられます。硫酸バリウムは炭酸カルシウムと同様に金属塩の一種で、化粧品の体質顔料として用いられていますが、白色顔料としてみた場合のカバー力や皮脂の吸着力にやや劣る一方で、成分の安定性や柔らかさ、透明度には優れています。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされていますが、体質顔料としての汎用性に優れた硫酸バリウムの方がより多く利用されています。

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